言語学者が選ぶ最強の語学書集(+語学学習法とか研究とか統計とか)

これまで数百冊の語学参考書を買ってきたので、特にお勧めできるものを言語学者の観点からご紹介。 語学書を活用する為の効率的な学習法や言語学の話題も。

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    辞書のような分厚さで重要どころだけではなく、日本ではそこまで知られていない作品や著者についても紹介されています。

    恐るべきは第三部「重要作品」で、フランス文学史のなかの重要な作品のストーリーがそれぞれ一ページで紹介されています。これでもか、というくらいネタバレ全開なので重要人物の死や結末など全て明かされます。その結果軽くこの本を読むだけで、フランス文学を読み尽くした知識人ぶることが可能になるという奇跡がおきます。

    とにかく多種多様な作品が綺麗に、コンパクトにまとめられて紹介されているので何を読むか迷っていたり、何か文学的なテーマや研究対象を探している時にも便利です。また文学は時代を超えて関連しあっているものなので、それらの呼応関係や影響を見る事、大きな潮流を鳥瞰する事が可能になります。



      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    文学を通して外国語を学ぶ人が減ってきましたが、この本で名作、名文を読むのは実に楽しいです。

    マニアックな作品や文豪については触れられていませんが、その代わりに王道はきちんと全ておさえてあります。原文と対訳がついているので語学の勉強にもなりますし、作者の背景や時代の流れを踏まえて読むとフランス語と文学、両方の理解が深まります。それぞれの世紀の潮流などについてもまとめられていて、簡潔ですがそれらの文章も実に良いです。

    教養?があるフランス人と会話していると文学の話はよく出ますし、詩を暗唱しあうようなことも多いです。例えばこちらがランボーのオーブが好きだと言って、一行目を暗唱すると二行目を相手が暗唱してお互い「やるじゃないか…」という感じの変な雰囲気を出します。夕顔か!!とつっこみたいところですが、こういったコミュニケーションは文学好き同士が共感しあう実に楽しい時間です。フランス語を楽しめる瞬間でもありますし、この本を通して名場面や名台詞を暗唱してみてはどうでしょうか?(ちなみに私もランボーやマラルメの詩を暗唱していましたが今ではすっかり…)

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    英語は発音のシステムが特に複雑なので、困っている学習者が多いと思いますがそこでお勧めなのが 竹林 滋先生、斎藤 弘子先生のこの本です。

    音声学や音韻論といった名前を冠する本は専門的な雰囲気が漂うのでもしかしたら警戒してしまうかもしれませんが、この本ではそういった心配はいりません。予備知識が無くてもきちんと読めばきちんと理解できるように書かれています。それに無理に専門用語を覚える必要もありません。

    英語を学習している人の多くはもう学校を卒業した人たちで、時間が十分ないことが多いですし、もしかしたらこういった本を読むのは回り道だと考えられる方もいるかもしれません。それでも急がば回れと言うか、この本を読んで英語の発音を理解するとリスニング力があがり、リスニング力が上がると高速で多くのフレーズを聞きまわす事ができるようになるので、その結果リーディング力もあがります。スピーキングがおろそかにされる日本ですが、実は発音は語学学習の根底にあるのです。ですから時間がある学生さんには特に読んで欲しい一冊です。

    忙しい中留学の為にTOEFLを勉強している、もしくは時間をぎりぎり削りながらTOEIC対策をしている、という社会人の方で時間をなかなかとれない場合は、せめて子音と母音の項目に目を通してほしいです。

    子音は舌や唇などの位置さえ気をつけてこの本どおりにすればネイティヴどおりの発音ができますし、英語はシュワー(あいまいで何か分かりづらい母音)のせいで母音が日本人にとっては難しいのでそれらについてはこの本できちんと学ぶと英語力がきっと上がります。

    前置詞や代名詞にはストレスアクセントが基本的には無い、単語の中でストレスアクセントがあるのはたいてい一箇所、ストレスアクセントがない母音はシュワーなので曖昧に発音する。これらを抑えるだけで発音も良くなりますし、聞き取りも楽になります。

    上記のストレスアクセントと発音の関係はロシア語でもほぼ同様に当てはまります。この知識があると難しいロシア語の発音を体系的にすぐ理解して覚えられるので助かります。語彙の意味や文法構造は全く違うロシア語と英語が発音体系は似ているというのは、政治や歴史を踏まえて考察するとなんだか興味深いです。

    ちなみに男性に朗報?ですが筋肉や体の構造上、男性のほうが第二言語の発音が自分の母語に近くなると言われています。外国語を話す時、男性は発音が苦手でネイティヴに近い発音ができるのは女性が多いですが、一応こういった理由があるようです(言語学の一般論は覆されることも少なくないので将来否定されるかもしれませんが)。

    竹林滋先生が訳されている英語音声学音韻論入門も大好きな本の一つです。



      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    英語で書かれた仏文法書で一番のお勧めです。

    日本には日本語で書かれた仏文法書で優れたものがありますから、無理にこの本を購入する必要はありません。それでもこの本をお勧めしたいのは、英語が得意な方がフランス語の勉強をしながら実力を維持できること、そして英語を通してフランス語を学んだほうが楽なことが理由です。

    フランスはイギリスと距離的にも近いですし語彙や文法も非常に似ています。もちろんイタリア語やスペイン語はフランス語の方言といえるほどに似ていますが、それでもフランス語と英語の類似点は相当に多いです。

    例えば"même si= even if" や "comme si = as if"がそれぞれの単語も、そして組み合わさった構文の意味も両方同じになったりしますし、英語の知識があればすんなり理解できます。

    この本は分かりやすく、それでいて難しい事柄までカバーしているのですが、全体的に不思議な柔らかい雰囲気のある本で、著者の人柄を表しているかのようです。英語がそこまで得意では無くとも、英検2級程度であれば、そしてフランス語文法の基礎知識があれば読める内容です。

    また日本国内の大学院受験のフランス語対策にも向いています。仏文専攻に出願する場合、英語とフランス語を両方勉強することになりますが、これが案外と大変です。時間効率を上げるためにもこの本でフランス語と英語を両方勉強しておけばそのぶん単語を覚えたり他の事に時間を割けます。

    私自身専門がフランス文学ではなかったのに、修士課程はフランス文学専攻を受験して苦労したのですが、この本で勉強してよかったと思っています。他には英単語をTOEFLようのこちらの本で八割程度覚えれば、英語にはそこまで時間をかける必要はないはずです。あとはひたすら仏文和訳、そして少し和文仏訳、そしてちょこちょことフランス語での面接対策をしておけばたいていは大丈夫です。


      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    フランス語といえば動詞の活用が常に問題となりますが、この本では活用が実に綺麗にまとめられていて、見やすく覚えやすいです。

    様々な辞書や文法書が体系的に美しく活用をまとめることに尽力していますが、この本が一番といっても良いでしょう。活用のみで他の情報は無くコンパクトにまとまっています。

    活用を覚えるのが苦手、という人や活用を調べるのが面倒、という人には必須でしょう。

    ネイティヴがネイティヴの為に書いた本で、なおかつフランスでもおおくの人が人々が購入しています。外国人でも問題なく使えるので、お勧めです。

      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    DELF/DALFの公式問題集です。これらの試験を受ける場合、年に何度も受験できないので時間配分なども含めて事前に十分これらの参考書で準備しておく必要があります。

    TCFのところで書いたことと内容がかぶりますが、スクリプトがついているインターネットラジオrfiのバックナンバーを繰り返し聞いてスクリプトを音読してシャドーイング。できる限り多くの記事を、できる限り何度も反復。
    加えてこちらの本の例文を暗記すると読解、聴解、作文、仏会話全てに役立ちます。

    C1対策の有効な手段としてはライティング用のテンプレです。兎にも角にもテンプレです。これで点数を稼げるのでお勧めなのですが、テンプレを書くにもいろいろとコツがあります。

    まず、どんな問題がでても対応できるテンプレにするために、幅広く使えるフレームを用意することです。ムダにお金がかかる、時間の浪費になりかねない、政治家は推奨して大衆はそれを鵜呑みにするが実益は無い、これら三つのトピックをできる限り難しい語彙と難しい文法構造で書いてテンプレートとして、あとは空いているところを平易なフランス語、上記の久松先生の本の例文をもとにした文章で埋めればかなりの点数がとれます。経験的に、多少こじつけになっても、これらの三つのトピックが使えない問題に出くわしたことはありません。

    難しい語彙と文法構造で、金、時、政治に関係していて幅広く使えそうな文章例を見つけるにはフランスのアマゾンからバカロレアの哲学の参考書を買うのがお勧めです。Bac Philosophieで検索すればいろいろな本がでてきます。これらの本から使えそうなフレーズをそのまま持ってきて文章の骨格、テンプレにします。

    テンプレを作ったら、問題を一つ解いてみて、その文章をネイティヴのフランス人にチェックしてもらい、テンプレの完成度を上げます。昨今では日本にもたくさんフランス人がいますし、SNSなどで頑張ればお願いできます。ネイティブのフランス語話者が先生や留学生として在籍している学校にいるのならばお願いしてみましょう。



      このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
    フランス語もいろいろな試験があるのですが、その中でTCFがお勧めなのでこちらの本とCDをお勧めしたいと思います。

    TCFはフランス語版TOEICのような感じでライティングとスピーキングがありません。そのぶん他の試験よりもはるかに楽です。時間をリーディングとリスニングにだけかけられるというのは目標スコア、留学に必要なB2もしくはC1レベルまでスコアを上げるのが容易であることを意味しています。

    学校や学部によってはTCFを認めないこともあるので予め確認が必要です。

    この本と別売のCDでテストの概要をつかむ事がまず重要です。年に何度も受けられる試験ではないので、時間配分なども含めて事前にしっかり確認しておかなければいけません。

    その後はスクリプトがついているラジオ、rfiのバックナンバーをひたすら聞いてスクリプトを音読してシャドーイング、加えてこちらの本の例文を全て暗記してしまうとどんどんスコアがあがります。英語と比べると参考書の不足などいろいろ問題がありますが、それでもフランス語は学習できる環境が整っています、もちろん学校に通う必要もありません。

    DELF/DALFの対策が必要な場合、教材不足に悩まされるのですが、読解と聴解は上記の方法で問題ありません。仏作文と仏会話についてはまたこちらの記事で。

    TCFと同様のテストとしてTEFがありますが、規模が小さく、この試験のスコアを受け付けている機関も多くはありません。残念ながら試験の完成度もETS(英語)などのものと比べると劣ってしまうのでこちらの試験はお勧めしません。



    このページのトップヘ