英語の発音辞書の双璧二冊をご紹介です。

二冊のうちどちらも同じくらいお勧めです。私は二つとも持っていますが、両者ともに似ています。最善を尽くすと結局は似てしまうのでしょう。LONGMANのほうは、単語の発音がネイティヴの間でもばらけていて、どれくらいの割合の人がどう発音するかという情報がある特定の語彙に書かれていてとても面白いのですが、紙面の都合上たまに書かれている程度です。今後辞書が発展すれば、CDかDVDに収録した辞書にそういったデータがそれぞれの語彙に含まれ、さらに年代、時代によってどのように変わるかということまで含まれるでしょう。辞書は言語学者の成果の結晶の形の一つ、夢が広がりますね。

発音辞書なんてものが存在するというのは、英語の発音がいかにややこしく、体系的に説明できないイレギュラーさがあるか、ということを示していると思います。これはつまりきちんと発音を勉強しないときちんとした発音はできないということも意味しています。

発音が悪ければ相手が誰であっても通じませんし、自分が思っている正しい発音が間違っていると相手が何を言っているかわかりません。子供がそうするように耳で言葉を覚えるのが効率的という研究も第二言語習得論などでは見られます。私自身も発音を一から見直して、勉強法方を「読み書き」から「聞き話し(シャドーイング中心)」に変えて急激にTOEFLのスコアが伸びたので、発音の矯正は語学力の底力を上げる為に必須だと信じています。

残念ながら英和辞書は発音表記に関しては間違いが少なくないので、発音矯正のためにも発音辞書の購入をお勧めします。試しにA4で1ページ程度の英文の、Iやandといった知っているつもりの語彙も含めて、全ての発音を発音辞書で調べてみることをお勧めします。母音と子音、そしてアクセントの位置、アクセントの有無を一語一語確認すると、日本人のほとんどは絶望するくらい自分の発音の認識が間違っていることに気づくはずです。間違いに気づくというのは成長の大きな一歩ですから、これだけでも発音辞書は有益です。その後は発音が気になったらその都度辞書をひくようにして、リスニングやシャドーイングの際にアクセントや母音子音に気を配りながら学習を続ければ順調に発音は改善され、こつを掴めば発音辞書も頻繁にひかずにすむようになります。

ちなみに発音辞書はIPAでネイティヴの子音や母音がどう発音されるか記載していますが、そのほかにストレスアクセントの位置と、シラブルの境界、どこで区切られるかが書かれています。

シラブルの区切りがどこなのか、というのも体系やルールで説明できずネイティヴの多くが境界だと感じる箇所が境界です。シラブルの把握が役立つと感じられるのは研究者か文学好き、もしくは音楽好きくらいかもしれません。韻文詩のリズム構造はシラブルが単位になっていますし、音楽に当てはめられる時も一つの音に対して一つのシラブルが当てはめられます。音楽や詩からシラブルを見て、言葉と芸術を感じるのも言語を学習したからこそ得られる喜びの一つです。