言語学者が選ぶ最強の語学書集(+語学学習法とか研究とか統計とか)

これまで数百冊の語学参考書を買ってきたので、特にお勧めできるものを言語学者の観点からご紹介。 語学書を活用する為の効率的な学習法や言語学の話題も。

    2015年11月

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    良著ばかりの「文法から学べる」シリーズですが、今回はドイツ語版についてご紹介です。

    この「文法から学べる」シリーズは比較的メジャーな第二外国語の入門書を多く出版しています。中級や上級の参考書は、第二外国語の場合、とても少ないのですが、入門書に関しては多くの本が出版されています。

    そんな中でこの本が特に優れているのは、為になるメモや注意書きがさまざまな箇所にコメントとして挿入されていることです。例文や動詞の活用表にまで書き込まれているこのコメントは、塾の先生のような、為になる助言です。このおかげでよくある参考書とは一次元違う、立体的な解説となっています。コメントや表の質の良さも素晴らしいですね。

    格変化の表のところに日本語で「は」「の」「に」「を」などと補足的に表記されているのも個人的にはとても嬉しいものでした。他の参考書では表の箇所に毎回これらを自分で書き込んでいたので、手間が省けましたし、手書きの自分のメモよりもきちんと印刷されているほうが見やすいです。


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    公式の問題集に次いで、最もTOEICで重要な参考書だと言えるでしょう。

    この本の良さはまず、問題数が約1000問もあるところです。どんな試験にしろ対策として重要なのは、量をこなすことです。量をこなしていけば、見た事が無いような文法問題でも、推測で正解を導けるようになります。一冊でこれだけの問題数を収録している問題集は、私が知る限りありませんし、この問題集を一通り全てやり、間違えた箇所を再度解いて、さらにまた間違えたところを解く、というサイクルを繰り返せば自然と文法問題で困ることはなくなるはずです。これに加えて公式の問題集もやれば十分です。

    この本の素晴らしいところは、効率的な勉強法の穴を綺麗にふさいでくれることです。効率的なTOEIC対策は、ひたすらリスニングの音声をシャドーイングすることです。リスニングの内容は、リーディングで使われる表現や語彙とほとんど同じなのでリスニングの音声を大量に聞き続けてシャドーイングすることで、リーディングの読解問題もすらすらと読めるようになります。リーディング対策をしていてもリスニング力はあまり上がらないので、とにかくリスニング対策をすることが近道です。

    しかしリスニング対策だけでは、文法問題に対応しきれません。かなりの単語やそれに伴われる前置詞などもシャドーイングで自動的に覚えてしまうのですが、それでも少し穴が残ります。その穴をこの本で埋めることで完璧な対策に近づきます。

    この本は三種の神器の一つで、他に公式問題集と、公式のリスニング問題集をこなしていくだけで満点近くを狙えるはずです。しかしリスニングはできる限り大量に聴きまくるしかないので、他にも問題集などを購入したほうが良いでしょう。

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    語学学習の名作ドキュメンタリー「チャレンジ・キッズ」のご紹介です。

    Spelling Beeという英語のスペル記憶大会のドキュメンタリーです。参加者は子供ばかりで、小学生や中学生たちがひたすら難解な語彙のスペルを覚え、語彙力を競う大会です。数百万円の賞金やさまざまな特典もあり、アメリカで広く知られているイベントです。

    まだお母さんから離れられないような小学生がGREに出てくるような難しい単語のスペルを覚えながら大会に準備するパートと、大会本戦のパートに分かれていて、私自身がGREの単語を覚えている時に見ていました。

    たとえばwheedle という単語は、甘言でそそのかして~させる、という意味ですがこの単語をGRE対策で覚えている時にこのドキュメンタリーで子供が出題され、励まされました。こんな小さい子供でも単語に向き合って覚えているのだから自分も頑張らないと、と思いながら毎日単語を覚えていました。

    ドキュメンタリーとしての完成度も高く、多くの語学学習者を励ましてくれると思います。遊びたいさかりの子供達が頑張っているところや、努力が実り栄光をつかみとる場面は実に見ごたえがあります。



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    かなり長期間、日本には帰っていなかったのですが、先日帰国して昔の、ほこりをかぶった単語カードを実家で発見し、写真におさめてみました。海外の家にまた別に単語カードがあり、写真におさめられているカードは英語とフランス語中心です。カードの枚数はおそらく3万から4万枚くらいです。

    単語は言語の土台、基礎の基礎です。単語力は語学力に直結します。スポーツ選手の筋肉トレーニングと同じです。大学院受験をしていた頃は特に、英文和訳や仏文和訳の必要があり、単語力が必要だったので、ひたすら単語を覚えていました。その後もTOEFL対策やGREやフランス語の試験対策、などなど多くの単語をカードで覚えました。効率の面で絶対にカードに勝る単語学習法はないと思っていますし、杉村太郎さんや多くの方々が推奨されている勉強法です。

    ただしこれらは短期的に語学力を、比較的簡単に、上げてはくれるのですが、単語学習だけではいけません。カードで簡単に覚えられるので気分がよくなり、ついつい単語ばかりやってしまいますが、単語だけで語学は完成しません。

    筋トレばかりしていては野球が上達しませんし、野球の練習を真剣にしていれば野球に必要な筋肉がついてきます。野球選手の落合博満さんも言っていますが、野球のための筋肉は野球で培われますし、語学に必要な単語力も語学の練習を通して自然に身につきます。

    ある程度のレベルまでは単語力をあげるだけでだいぶ語学力が上がるのですが、それ以上、ネイティヴと同等に問題なく意思疎通ができる段階まで実力をあげるには、学んでいる言葉に触れてできるかぎり頻繁に使うしかありません。

    これらのカードには思いでがつまっていて、応援してくれていた友人たちが書いた単語カードもたくさんあります。このカードの山をみるだけで、当時の自分に励まされるような気持ちにもなります。あの頃の私の目標は今ほど高くなく、外国語試験である程度高い点数がとれたらいいくらいのものだったので、これで十分でした。

    ただ、多読や、特に多聴は単語力のみならず、文法理解力や他の語学に必要な技能全てを成長させてくれるので、ネイティヴに近い語学力を目指す場合は、効率の面ではこれに勝るものはありません。

    結局はゴールがどこにあるのか、です。大学受験や大学院受験であれば、単語をこのようにカードで覚えて、あとは長文読解と文法対策、過去問でたいてい問題ありません。TOEIC対策も過去問、文法関連問題集、単語対策で大丈夫です。TOEFLやIELTSでもそこまで高い点数が必要ではないのなら単語対策も有効です。これらがゴールなら単語学習というものに意味が十分あります。

    TOEFLやIELTS、GREといった非常に難しい英語の試験で、日本人がほとんどとれないような点数をとりたい、もしくはネイティヴに限りなく近い英語力、そういったものを求めるのであれば多読と多聴に勝るものはありませんし、単語対策はしなくても勝手に覚えられます。


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    しょっちゅう議論されている問題ですが、多くの人がTOEIC, TOEFL, IELTS, 英検のテスト同士のスコア換算について知りたがっています。ただこれは不毛というか、なんとも言えない問題で、そもそも試験の中身が違います。先に結論を書いておきますが、換算も比較もできません。

    たとえばデュアスロンという競技はランニングと自転車で速さを競う複合競技ですが、トライアスロンはそれに水泳が加わっています。それぞれの競技のタイムから「陸上力」というのをスコア化して、それらを換算できるようにして、それじゃあその陸上力というあやふやなものを比較できるか、というと当然できませんよね。デュアスロンですごい選手が、速く泳げる保障なんてまったく無いわけですから。

    これと同じ事が言えて、英語でもTOEICは読解とリーディングのみ、一方で他のTOEFL, IELTS, 英検はTOEICの内容に加えてライティングとスピーキングがあります。

    TOEICを批判するようなことになってしまうのですが、少なくともTOEICは書く能力や話す能力を測れない以上、他のテストと比べようがありません。英語ができるのなら話せるだろう、と思われる人も多いと思いますし、実際全く勉強していない人よりはもちろん話せるでしょうが、残念ながらTOEIC高得点取得者でも会話が苦手な人は少なくありません。

    また、試験の解答方法や出題形式も異なります。たとえばリスニングの話をするとIELTSとTOEFLはかなり異なっています。解答方法が記述式のIELTSとは逆にTOEFLは基本的に四択です。IELTSは聞き取ってその単語を解答用紙に記入する際に複数形のsなどもきちんとつけなければいけませんが、TOEFLではそういったことに意識を割く必要がありません。語彙についても、TOEICにでる語彙と、英検の語彙問題は違う言語かというくらいかぶらないですし、TOEFLとIELTSもこれら二つとはかなり異なります。

    それぞれの試験に癖がありますし、対策の有無でスコアが大きく変わります。そしてその対策したら取れる点数が本当の実力だと言うのなら、比較したい二つの試験を同程度に対策してそのスコアから換算すればかなり正確な比較ができるでしょう。しかし、一つの試験を受けてしまえば大体の実力が示せてしまいますし、労力をわざわざかけて他の英語の試験の対策を再度するという人はとても少ないでしょう。

    他の問題は運にスコアが左右されてしまうということです。テストのスコアはある程度運でばらけてしまうので、受験回数も十分ないとデータが信頼できるものになりません。

    私はTOEFLがメインで、IELTSもある程度対策したのですが、週末に二日間休みをとらなければ受験できないIELTSはなかなか受験できず、結局満足できる回数は受けられませんでした。そしてIELTSの特徴というか、毎回点数がばらけるので、運がよければ1点は今のスコアより良いだろうに、などと思ってしまいました。なので自分の経験からも換算はなかなかできません。

    どうすれば換算できるのか、と思われるかもしれませんが、ネット上の色々な換算表の平均くらいと思っておくのが良さそうだと思っています。TOEFLびいきの人、IELTSびいきの人、色々いるので、それらの片方ではなく両方を見て自分なりに判断するしかありません。受験者の多い試験はそのぶん票数が増えてしまい受験した試験をひいきしたような評価をするかもしれませんが、単純に色々みて平均あたりをとればよさそうです。

    そんな中でも個人的に一番しっくりくるなと思った換算方法の一つは「TOEICのスコアを10で割って、そこから10引いた数がTOEFLのスコア」というものです。

    もちろんTOEICの受験者がTOEFLの対策に時間をさけば、点数は伸びるわけなので、あくまでも目安です。

    最後に、TOEFL のペーパー版、CBT, iBT同士もスコアの換算表がオフィシャルに作られていますが、これも信用できません。ペーパー版はライティングもスピーキングも無い試験で、CBTはライティングがあり、iBTにはスピーキングもライティングもあります。日本人が得意な文法セクションがiBTでは消えて、日本人が苦手なスピーキングがiBTにはあるので、iBTがTOEFLで最も難しく、日本ではオフィシャルな換算よりも高く評価されてしかるべきです。

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    言語学に興味があるけれども何を読んでいいのかわからないという方に最もお勧めしたいのがこの本です。

    町田先生の分かりやすい説明のおかげで、どんな人でもソシュールの功績や基礎を学ぶ事が出来、それはそもそも言語学の基礎を学ぶことにつながります。

    ロラン・バルトやジャック・ラカンなどが、かつてのいわゆる文系といわれるものの典型ともいえる考え方をより科学的に変えた時代、その中で近代言語学の父と言えるのがソシュール。

    今の学術誌に投稿する論文で引用されるようなことは少ないと思いますが(分野にもよりますが)、それでも基本に立ち返ってソシュールを学ぶと毎回大きな発見があります。

    今の言語学はかなり理系とも言える要素が多く、ほとんど理系とも言える分野もあります。このように理系の方向へ言語学の流れが動いた要因の一端はソシュールです。

    言語というのは、外国語を学習しているとわかると思いますが、体系的にルールで説明できる規則と、なかなか説明できないものがあります。

    たとえば英語の疑問文は基本的に倒置が伴われますが、じゃあhow comeで導かれる疑問文は倒置がなかったりと常に例外が付きまといます。

    なのでルールを設定して規則を作るというのが難しく、もともとは規則化にそこまで力が注がれていなかったのですが、ソシュール以降は様々な形で多くの言語学者が規則化もしくは体系化のためのシステムの構築に尽力しました。

    こういった言語学のことを学び、言語を知ることで、外国語学習の方針も見えてくるでしょう。私がこういった本を読んで行き着いた答えは、体系的にできるかぎりわかりやすく、覚えやすく情報をまとめて学習しよう、ということです。そしてまた、生成文法や最適性理論を学び、体系化できない知識のための大量のインプットの必要性を痛感しました。

    多くの方が理解していることだとは思うのですが、回り道をしてから理解すると深まるだけではなく、様々な有益な知識が潜在的にもつきます。意味のある回り道を出来る人が結局は高くまで上れるかもしれません。

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    例えばフランス文学やフランス語専攻で難関大学の大学院を受験する場合、その問題レベル、もしくは合格レベルは仏検二級から準一級の間くらいです。ドイツ語なら独検二級から準一級の間程度です。

    東大、京大、一橋、早稲田、慶應、上智などの過去問を、オークションなども駆使して出来る限り多く入手して、色々な外国語の試験を見てみましたが大体この範囲の難易度に収まります。独検や仏検などの語学試験の二級は受かる程度で、難しい大学を受ける場合は準一級受かるかなくらいのレベルまで上げれば合格の可能性がだいぶ高いでしょう。東大は本郷と駒場で傾向が全く異なり、ここで書いているのは駒場にあたります。本郷のほうは本当に難しい、文学や哲学思想で読まなければいけないような原文がそのままでてきてそのまま訳します。

    文学専攻などであれば、文学に関連する文章を和訳することになるので、その場合は文学に関する知識が必要な場合もあります。あまり文学的な知識がなくても問題ない場合もあるので、過去問を参考にすると良いでしょう。

    英語だけは例外で、英文学専攻や英語専攻だと二級程度ではもちろん駄目ですし、かなり難易度の高い英語のテストが入試には含まれています。英語以外の語学に関しては大学に入学してから始めるので、実質4年しか勉強しないことが多くなりますが、英語に関しては中学高校を加えて10年学んでいる状態で受験するので難しくなります。

    英語英文学専攻以外のすべての専攻でも英語試験を受けることになるのですが、英語もそれなりに難しいです。大学受験より上のレベルの語彙が出るので、TOEFLの単語帳を覚えましょう。見事にTOEFLと語彙がかぶります。構文はそこまで複雑ではありません。大学院の入試問題を作成する人も何かを参考にしながら作るので、語彙のチョイスに関してはTOEFLを参照しているのが明白です。英語専攻も英語以外の外国語を専攻する場合も、入試の英語の語彙レベルはTOEFLレベルです。英検一級の語彙問題はGREと呼ばれる試験を参考に作られていますが、英検一級やGREの語彙問題と同様の語彙はまず大学院入試ではでません。大学院の入試会場で英検一級の語彙問題の問題集をもってきている人がいますが、残念ながら頼りになりません、でるのはTOEFLの語彙です。ただし私が購入した過去問は2000年から2010年あたりのものなので、最新のものはまた異なるかもしれません。傾向がもしかしたら変わっているかもしれないので、各自調べてみる必要があるでしょう。

    大学院で希望している専攻が英語や英文学以外の場合難しいのが、英語試験対策にかける時間をどれくらいにするかということです。ほとんどの大学で、合否の決定の際に英語がどれくらい重視されるのか明かされていないので困るでしょう。過去の合格者の話が聞ける内部生がこういった意味で有利になってしまうのですが、英語は昨今では何をするにしても、ドイツ哲学をやるにしても、避けられないものなので、あきらめて英語もしっかりやっておくのが一番かもしれません。

    最後に、大学院受験は、ものにもよりますが、英検などの試験のように、読む、書く、聞く、話すから構成される事が少なくありません。しかもその事が受験要綱に書いてありません。

    どういうことかと言うと、入試の面接試験で外国語での質疑応答があるのことがあります。ロシア文学であれば、ロシア語話者がロシア語で面接してくるので、それにロシア語で答える事が求められます。面接なんてたいていありきたりのことで、入学後どういう勉強をしたいのか、なぜこの学校を選んだか、なぜそのトピックに興味があるのか、といったことなので、あらかじめ準備しておけばなんとかなります。

    なんともトリッキーで、詳しい配点も明かされていないので色々な意味で難しいのが大学院試験です。大学院とは本来は学習の最終課程なので、そう簡単には受からせないという姿勢も当然なのかもしれません。学外者だから不利ということは正直色々あると思うのですが、合格基準の噂のようなものが学外にはもれないのも要因の一つだと思います。

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