言語学者が選ぶ最強の語学書集(+語学学習法とか研究とか統計とか)

これまで数百冊の語学参考書を買ってきたので、特にお勧めできるものを言語学者の観点からご紹介。 語学書を活用する為の効率的な学習法や言語学の話題も。

    2016年01月

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    関口存男先生の人生の集大成とも言える全三巻「冠詞」は語学書界の伝説とも言えるようなものです。三冊ともにページ数が多く、合計で2300ページを超えます。ページ数ですごさを語るというのも陳腐なのですが、冠詞という一つの内容だけでこれだけの分量を書くことが出来るというのはそれだけ関口先生の理解の深さを表していると言えるでしょう。

    そして、その分量は冠詞というものの難しさも示しています。冠詞を使う言語を母国語とする人々は、例えばギリシャ語話者などでも、母国語以外の冠詞の使用に関してそれほど困りません。しかしアジア圏の人々は母国語に冠詞が無いので、冠詞がある言語を学習する際はとても苦労してしまいます。

    母国語が学習している外国語と似ているかどうかというのは難易度に直接関係してしまうので、似た言語ほど容易に学習できます。日本語は英語、フランス語、そしてドイツ語との違いが非常に大きく、中国語や韓国語を学ぶほうが日本人には簡単です。その違いと難しさを反映しているものの一つが冠詞です。

    この本で主に紹介される冠詞は関口先生が専門とされているドイツ語が中心で、英語やフランス語の冠詞についても触れられています。冠詞の役割や働きもこれら三ヶ国語はそれぞれ似ているとも言えるのでこのように同時に取り扱うことができます。イタリア語やフランス語にある部分冠詞はまた特殊ですが、基本はやはり定冠詞と不定冠詞なのでこれらをこの本でおさえることでフランス語、そしてさらにはイタリア語でさえ、冠詞の理解が応用できます。

    他にも冠詞に関する優れた本はありますし、簡単にイメージで感覚的につかめるように書かれた本もあるのですがネイティヴのように冠詞が使えるようにはなりません。ネイティヴと同程度に冠詞を使いたければ関口先生のこの本を熟読するか、もしくは大量にその言葉を使ってその言語を外国語から母国語にしてしまうしかありません。私も冠詞については常に意識していて、英語やフランス語で文章を書く場合は同じようなフレーズをグーグルで検索し、その場合どのように冠詞が使われているかを参考にしつつ冠詞を決定します。とても時間がかかるのですが、これは冠詞の勉強もかねているので仕方ないと諦めています。最近ではわりと冠詞が自然なものになってきている気もしますが、大事な文章を書く際はネイティヴにチェックをお願いしています。

    関口先生のこの本ほどこのブログで書きたくなる本というのもありません。優れた本はそれ自体が人生の集大成、命そのものがぶつけられたようなもので、語学書には特にそういった本が多いです。こういった本から見えてくる著者の人生というものが個人的にはとても魅力的で、冠詞に関する内容そのものも、もちろん重要ですが、この本からにじみ出る関口先生という人に一番興味があります。

    私自身、言語学者として、そして芸術家として生活しているので、演劇の世界でも活動されていた関口先生にとても関心があります。残念ながらもう直接お話することが出来ないのですが、こういった著作を通しての対話が心地良く、楽しみの一つになっています。普通の人生では普通のことしかできないので、普通ではない人生をこういった本から多くの人に感じて欲しいと思います。

     

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    ジャーナリストとして知られている本多勝一さんの著作をご紹介です。

    ジャーナリストとして大切なことは色々あると思いますが、その一つは伝えるべきことをきちんと理解される形で伝えるということでしょう。書き手は理解していても、読み手には理解しづらい表現というのもありますし、そういった例と避け方の例が多く挙げられています。

    例えば、二つ修飾語がつくとどちらがどう名詞を修飾するかわかりづらいことがあります。

    「青い太郎の家」という表現は青いのが太郎なのか家なのかわかりづらい文章になってしまいます。これは口に出すとイントネーション、言葉の抑揚で青いのがどちらなのか伝えることができますが、文章ではややこしくなってしまい、問題となります。

    日本人ならば日本語で文章を書く機会というのはもちろん多いですし、レポート、論文、ビジネスメールなどなど相手にきちんと意味を伝えなければいけない場面ばかりです。

    本多さんの本に書かれている例文は一見すると普通のどこにでもあるような文章に見えるかもしれませんが、私たちが普段目にしている新聞などの文章はプロが書いたものなので、知らないうちに普通というものがとても高水準な基準に基づいてしまいます。普通な演奏というのもプロによるものですし、普通のモデルの普通の写真集というのもプロのモデルをプロのカメラマンが撮った写真集です。

    こういった普通という高水準なレベルまで自分の文章力をあげるために、この本ほど適している本を見たことがありません。そして文芸的な文章とは違ってここまで実用的な日本語のライティングの本というのもなかなかありません。

    また外国人が日本語で文章を書くときも、この本に書かれていることを参考にするととても為になります。外国語として日本語を学習していると、主語無しの文章は自然と避けられる傾向にありますし、動詞の目的語を省略されることもあまりありません。そういった綺麗な文章を書いて、尚且つ本多さんのこの本に書かれているような事に気をつけていけば、少なくとも通じない日本語にはなりません。


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    杉村太郎さんの本を読んで強く励まされ、もっと自己啓発本っぽいものを読みたいと思って色々読んでみました。とはいっても、当時は働きながらTOEFL対策をしていて、とにかく時間が無く、電車の中やベッドに入ってもmp3を聴いているくらいで関係ない本を読む時間はありませんでした。

    そこで一石二鳥ということで読んでいたのが英語の自己啓発本です。その中でも特にお勧めなのがこのMagic of Thinking Bigです。

    当時の自分は自分がアホなのかどうかよく頭によぎっていたものです。働いて、TOEFL100点突破を目指して、おまけにコンクールまで受けて、どれだけ頑張ろうと全部無駄に終わるんじゃないか、欲張りすぎなんじゃないか、そういったことが頭をよぎっていました。特にTOEFLの90点台のスコアをモニターで眺めながら。

    そんな時にこの本を読んだわけですが、400万冊売れたというだけあって、どんどんやる気になれる本でした。スティーヴ・ジョブズさんも「アホであれ」というような演説をしていたと思いますが、仮にアホでもええんや!と思わせてくれる本です。

    今のご時勢留学はどんどん難しくなっています。ビザの申請もめんどうくさくなり、TOEFLやIELTSの要求スコアもどんどん上がり、これらの試験自体も難しいものです。しかもアメリカ留学に至ってはGREという苦行としか思えない試験がまっています。大学院に行くなら国内で良いところに行けばいいじゃないか、社会人入試までご丁寧に用意してあって、金銭的な面でも留学ほど心配が無い、と思ってしまうでしょうし、僕もそう感じることがありました。
    実際国内の大学院、一橋、慶応、早稲田、上智など受験しましたが、留学の準備と国内大学院受験対策では留学準備のほうが圧倒的に大変でした。もちろん留学準備当時は働いていたからかもしれませんが。

    それでもこういった本を読んだり、アカデミックの分野がどうしても英語圏の独壇場であることを考えてなんとか留学にこぎつけたわけですが、今思えば留学は大正解だったと感じられます。

    私はついつい安全な道を選ぶ癖があるので、こういった本を読んで無理な事は無いんだと信じられたのは大きな支えでした。

    日本人とは違う感覚だな~と思う箇所もこの本の中にあって、それは交友関係を重視しているところです。

    冷淡なようですが、この本に書いてあるように毎週末に友人たちと交流するといったことは忙しすぎて少し
    無理に思えてしまいます。ビッグになりたかったらそんなせこい事を考えずにどんどん遊んだほうがいいのかもしれませんね。

    この本のCDも発売されていて、リスニング対策にもなります。昔手塚治虫の漫画で、洗脳のためにヘッドホンでずっと同じようなフレーズを聞かせ続けるというものがあったのですが、同じような感覚でこのCDを毎日聞きながらリスニング対策をしたり、仕事をしているとうまい具合に洗脳されて「ビッグになるで!」という気持ちになれてとってもお勧めです。

    自己啓発本としていても優れているので、そこまで英語対策をする必要もないという人は日本語版も良いでしょう。

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    英検は他の英語試験、TOEIC、TOEFL,IELTSとはまた毛色が違うので、英語力が十分あっても試験慣れしていなければ良い結果が得られないでしょう。

    そこで重要なのが過去問で、これらの本では6回分の過去問が収録されているので試験慣れには十分です。

    CD付きの本と、筆記試験を収録した本が別々に分かれていて2冊買わなければいけないのですが、実際の過去問ほど優れた問題集はないので買うしかない本です。

    英検は海外ではほとんど通用しない試験で留学や海外での就職を考えると受験する必要が無いのですが、国内では今でも最も知名度があってわかりやすく実力を多くの人に伝えられる試験です。日本で就職活動をする場合は、アカデミックであっても、とっておいて損がない試験でしょう。

    受験回数がそのほかの英語試験と比べるととても少ないので、万全の体制で臨みたいところです。



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    英検、TOEIC,TOEFL,IELTS,などなど英語の多くの試験は非ネイティヴを対象とした試験なので、とてもとても大変ですが、勉強を積み重ねることで満点になってしまってその上が無くなります。

    IELTSの総合で満点をとったり、TOEFLのスピーキングで満点をとるのは純日本人にとってとても難しいです。また英検一級の成績優秀者に選ばれるのもとても大変なのですが、それでも英作文に関してだけなら、頑張った人なら、満点をこれらの試験でとれてしまいます。

    そういった人にちょうどいいのがGREのScoreItNow(SIN)です。GREはネイティヴの英語話者用の大学院入試の英語試験なのですさまじく難しく、外国人としての英作文のレベルが限界に達した人の新たな壁になり得ます。

    杉村太郎さん風に言うと、TOEFLやTOEIC,IELTSは高尾山ですが、このGREはエベレストです。これ以上高い山はありません。

    GRE対策としてもSINはもちろん優秀で、実試験の英作文採点プログラムが採点するのでこのSINで取ったスコアは実際の試験のスコアとほぼ同じスコアになり、自分の実力や成長度を測れます。

    GREのVerbalは改訂以降そう簡単に点数が上がらない苦行中の苦行なのですが、英作文Analytical Writingに関してはどんどん点数が上がります。詳しくはこちらに書いてありますが、所詮はコンピューターが採点しているので採点基準などは至極単純なはずです。

    ワードの英語のスペル、文法チェックくらいの正確さでスペルや文法についてミスをチェックし、ある程度ミスがあれば点数を下げ、使われている構文や語彙の豊富さに合わせてスコアを加点していく。こんなシステムだと思います。

    こういったことをあーだこーだ考えて、きちんと対策して語彙数を増やしたり工夫していくとどんどん点数は上がりますし、しかもネイティヴにも立ち向かえるレベルにまで上がっていくのでとても楽しい学習になるでしょう。

    外国人の私でもある程度いい点数が取れることを考えると、冠詞についてはわりと甘く採点されていると思います。私も冠詞について常に気をつけていますが、ネイティヴから見たら変な冠詞も多いでしょう。それでもそれなりの点数がとれるようになっているので、TOEFLやIELTSと同様に外国人が受験することを意識していて冠詞については甘く採点しているようい見えます。もちろん私はGREのライティングで満点をとっていないので、満点レベルになると冠詞も完璧かもしれませんが。

    SINは他のETSのサービスや試験と比べると安く20ドルなので、気軽に、しかも自宅から受けられます。

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    ちょうど良い問題集が少ないGREですが、そのなかで必須の本がこれら二冊の公式問題集です。

    GREは、特に数学の問題集が不足しています。数は多く出版されているのですが、ほとんどの問題集の数学の問題は実際の問題より遥かに簡単で対策になりません。

    逆にVerbalに関してはわりと実試験に近い難易度になっています。

    実際の難易度、傾向に近いほど良い問題集なので公式本は必須ですが、あまりお金をかけたくない場合は、Kaplanなどが安く問題集を売っているのでそちらを買って、あとは数学のみこの公式の問題集を買うと良いでしょう。

    統計関連の問題が特に非公式の問題集ではカバーできていないので、そういった意味でも公式の問題集は特に重要です。

    ライティングに関してはどの本もそれなりに良いので、Barron'sやKaplanなどの、どの本で対策しても問題ないといえます。傾向がつかみやすいので、そういった理由でどの問題集もそれなりに実試験通りの構成になっています。

    http://store.ets.org/store/ets/en_US/DisplayCategoryProductListPage/categoryID.3551800/pgm.84202900
    ↑などで公式でその他のGRE対策の販売を行っていますが、これら二冊の公式本と同様の重要性があるのはScoreItとOfficial Guideくらいです。その他のもの、特に動画の販売物は必須ではありません。



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    ある意味では最も良い問題集ともなり得るTOEFL Practice Online (以下TPO)です。
    $45.95、五千円くらい支払えば一回分、公式の試験問題が手に入るわけですが、一般の問題集と比べてとても高価です。一回分というと分量としてとても少ないです。実際の試験と全く同じものを受けられるというのは練習としては最善ですし、実試験よりは安いです。

    問題なのは、テキストや音声ファイルを保存できないことです。
    制作会社であるETSの「絶対にコピーさせないぞ」というものすごく強い意思を感じる作りになっていて、そう簡単には保存できません。Bandicamなどで強制的に保存もできるのですが…。保存してリスニングやリーディング対策にするということが公式的には出来ないようになっています。

    このTOEFL Practice Onlineをやる価値というのは、スピーキングとライティングの添削です。人間による採点ではなく、コンピューターによる採点ですが、これがほとんど実際の試験と同じ点数をきちんと示してくれます。ライティングなどはもともとコンピューター採点が部分的に行われているので、TPOは今の自分の点数をきちんと教えてくれます。

    ただしスピーキングの採点に関しては、音声の認識がプログラムの場合、それぞれの単語を100%理解するか0%理解するかという極端さとそれを何とか整える補助設定でなんとか帳尻を合わせている程度だと思うので、発音の仕方によっては実試験と点数が異なるでしょう。外国人の英語発音の特殊なデータベースを使ったプログラムによる音声認識であれば精度が上がるでしょうが、わざわざTPOのためにお金がかかるそういった作業はしないでしょう。

    本当に実際の試験形式そのままで出来るので模試としても優秀ですが、公式ガイドでも自分でほぼ実際の試験と同じような模擬試験を行えるので、なんとも難しいところです。

    それとTPOは一度模試をスタートさせてしまうと、もう一回模試をすることはできません。一回限りでこの値段です。

    TOEFL高得点のためならお金はいくらでも払える、というスタンスだとしても、とにかく量が少ないので模試目当て、もしくは今の自分のライティングとスピーキングの点数を把握したい場合以外は購入する必要はないでしょう。

    過去のTPOが再発売されることは、私の記憶では、あまり無く、再販されても若いバックナンバーのみで古いものはなかなか手に入りません。今現在最も新しいものはTPO25なので、過去のTPO1から全て手に入ればものすごく強力な、最強の対策集が出来上がるのですが。

    中国やロシアのインターネットは何でもあり、何でもある、無法地帯なので探せばあるでしょうが、倫理的な問題やウィルスの危険性があるのでお勧めしません。

    商魂たくましい?ETSさんが過去のものから全てTPOを販売してくれたら、結構な値段でも、購入する人は多いのではないでしょうか。

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