言語学者が選ぶ最強の語学書集(+語学学習法とか研究とか統計とか)

これまで数百冊の語学参考書を買ってきたので、特にお勧めできるものを言語学者の観点からご紹介。 語学書を活用する為の効率的な学習法や言語学の話題も。

    2017年02月

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    こちらで紹介させていただいた「How to Write and Publish a Scientific Paper」は間違いなく歴史ある名著、長年君臨しているバイブルなのですが、新たに台頭してきた本がこの「English for Writing Research Papers」です。

    こういった種類の本では「How to Write and Publish a Scientific Paper」があまりにも大きな存在なので、とても意識した内容になっているという印象です。つまり、「How to Write and Publish a Scientific Paper」では扱われていないような内容、もしくは補足説明的なことが書かれています。なので、これら二冊を買うと非常にバランスがとれた知識が得られるというわけです。

    理系の研究者のための論文の書き方指南書は数多くありますが、たいていの本はありきたりの事ばかりにページが割かれ、それらのことは既に知っているという場合が少なくありません。そういった本に書かれているのは、ネット上でタダで手に入るような安い情報で、買ってもがっかりしてしまうことがほとんどです。

    たとえば単純に「受動態を避けろ」ということは本当によく色々なところに書かれていますが、研究者がほしい情報はそういった表面的なことだけではなく、もっと実践的でジャーナルに投稿する際に有益な情報です。

    この本ではただ受動態を避けろというような書き方をせずに、投稿しようとしている学術誌に掲載されている論文などから傾向をつかんで受動態などに考えると書かれています。実際に受動態は多くの論文で用いられていますし、どういった場合に用いられるかといったことを考えるべきです。

    他にもジャーナルの世界の生きた情報が満載で、例えば全ての結果や統計的な情報を書くわけにはいきませんが、どういったものであれば書くに値するのかということも言及されています。

    問題となる英単語についても色々触れられていて、例えばrespectivelyの使い方なども指摘されています。こういった問題を孕む単語として選ばれているものがどれもついつい研究者が使ってしまい、しかも実際に問題となっているようなものばかりで、とても深い実践的な知識が得られます。

    とにかく学術誌のための英語、論文の内容、ジャーナル対策など様々な深い情報が満載です。タイトルの「English for Writing Research Papers」からは英語の書き方を中心に扱っているという印象を受けますが、論文そのものの内容やチェックの仕方まで書かれていて、これ一冊で論文を学術誌に投稿できるレベルまで仕上げられます。

    英語圏に留学するメリットの一つは、研究の中心となっている英語圏での常識を知ることで、その常識から外れるほどにリジェクトの可能性があがります。ただ、留学していてもそこまで深い理解はなかなか出来ませんし、ましてや国内で論文を書いている場合は大きな形式上の間違いを犯していても気づかない事もありえます。そういった意味でもこの手の本は非常に有益で、購入する価値があります。

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    合法に入手できるスマートドラッグは一通り試しましたが、効果があると体感できるほどのものはほとんどありませんでした。そんな中で効果があった数少ない例がロディオラです。ちなみにスマートドラッグとして扱われることもありますが、そこまで仰々しいものでもなく、ハーブ、サプリのようなものです。

    ロディオラは記憶力があがる、という記述や頭が良くなるというような文句も目にしますがそういった効果は体感できませんでしたし、グーグルスカラーなどで論文を検索しても、人間の記憶力や能力の向上につながるときちんと証明できている論文はありませんでした。

    では何に効果があるのかというと、抗うつ効果です。

    なぜ勉強や語学学習の効率を上げるための情報を書いていて、抗うつが関係するかというと、勉強のための環境を整えるとだいたい鬱々としてくるからです。

    勉強や仕事に集中したい場合は、日光がなるべく入らないようにすると良いといわれていますが、気分が落ち込みます。逆に太陽光が入る部屋は気分は良いのですが、集中力が下がりだらけます。勉強や仕事のしすぎで、疲労感からの気分の落ち込みもあるでしょう。

    またカフェインはもっとも広く使われているスマートドラッグで、効果もきちんと証明されています。仕事の効率や集中力に貢献してくれるので、モンスターエナジー、レッドブル、オロナミンCなどの栄養ドリンクにも含まれていて効果があります。サプリでもカフェインを摂取できますが、安易に摂取できるわりにはそこそこ強い副作用があります。一番よくある副作用で、誰もが経験しうるのが不安障害やイライラです。

    ちょっとしたことですが、遮光カーテンで太陽光を遮断してカフェイン入りの飲み物を飲めば体感できるレベルで集中力があがり、仕事や勉強の効率が確実に上がります。ただし毎日これを続けると確実に不安障害に近づきます。そうなると今度はまた余計な問題が起こりますし、結局効率が悪くなるので、避ける必要があります。

    そこでベストなのがこのロディオラで、綺麗にこれらの副作用を中和してくれて、鬱々とすることなく、仕事や勉強にうちこめます。抗うつ効果に関してはきちんといくつかの信頼できる論文で報告されているので信頼できます。

    うつ病の薬ほどの効果はないのかもしれませんが、副作用がほとんどないですし、気軽に使えるのが素晴らしいです。ほとんど無いというのが重要で、かえって不安になったという人もいるので、そういった場合は即座にやめるべきです。動悸、イライラ、吐き気、不眠、のどが渇く、不安感、などなどそこまで重大なものはないのですが、不安感を消すために投与して不安感が増したら全くもって無駄なので、注意が必要です。ただし、長期間しかも大量に服用しなければ副作用の可能性はとても低いので、そういったことも踏まえつつ摂取してみるのが良いでしょう。

    スマートドラッグのほとんどはアフィリエイト目的の誤情報ばかりで、実際に効果があるのはほとんどありませんが、数少ない、実際に研究で効果が証明されているのがロディオラです。とは言っても頭を良くするような効果を証明する論文は無いですが、それでもカフェインなどの副作用を帳消ししてくれるのは非常に心強いです。

    私の場合はロディオラとジョギングでいつでも心身ともに健康です。ただしロディオラに関しては毎日摂取すると何らかの副作用がでるかもしれないので、疲れてきた時や、落ち込んでいるような気がする時のみ摂取していて、あとは毎日ジョギングで気分を安定させています。

    遮光カーテンとジョギングが一番リスクが無く、確実に効果があるので、基本的にはこの二つでしのいでいます。忙しい場合や締め切り前はロディオラとカフェインをプラスすることが多いです。

    スマドラ関連はほとんど広告目的の誤情報しかネット上にないので、逆にここでは広告もリンクも貼りませんが、iHerb.comというサイトで購入するのが一番手軽で安くすみます。Iherbからだと海外からの購入になるので、もっと気軽に買いたい場合はアマゾンなどでも買えます。




    参考文献一覧
    Bystritsky, Alexander, Lauren Kerwin, and Jamie D. Feusner. "A pilot study of Rhodiola rosea (Rhodax®) for generalized anxiety disorder (GAD)." The Journal of Alternative and Complementary Medicine 14.2 (2008): 175-180.

    Darbinyan, V., et al. "Rhodiola rosea in stress induced fatigue—a double blind cross-over study of a standardized extract SHR-5 with a repeated low-dose regimen on the mental performance of healthy physicians during night duty." Phytomedicine 7.5 (2000): 365-371.

    Perfumi, Marina, and Laura Mattioli. "Adaptogenic and central nervous system effects of single doses of 3% rosavin and 1% salidroside Rhodiola rosea L. extract in mice." Phytotherapy Research 21.1 (2007): 37-43.

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    学習に役立つと言われるスマートドラッグやサプリは数多くありますが、語学学習に有効と言われるものは少ないです。そもそも語学学習に関連する研究を行っている研究者はスマートドラッグと関連付けた研究をほとんど行っていないのが現状です。

    ピラセタムはわりとメジャーなスマートドラッグで色々な情報が見つかります。ピラセタムは記憶力をあげてくれる、と言及しているサイトが多いです。

    グーグルスカラーだけではなくて、単純にグーグルも使ってみましたが、ピラセタムが語学学習に有効だという研究は見つかりませんでした。もちろんピラセタムはただ記憶力を上げるだけではなくて、語学学習にも有効だと主張するサイトもありましたが、信用できるソースはありませんでした。

    ピラセタムが記憶力を高めるのであれば、単語記憶や例文記憶に役立つ「可能性」(あくまで可能性ですが)がでてくるので、記憶力をあげるのか調べてみました。

    軽く探して見つかったのは、ネズミが何かを覚えてから忘れるまでの時間がピラセタムによって延びるというようなものでした。これはけっこう曲者なデータで、まず人間に同様の効果があるとは限りません。それと、仮に忘れるまでに時間がかかるようになるといっても、記憶が結局後々まで残るのか残らないのか、残るとしたらより高い確率で残るのか、などなど色々なことがわかりません。

    また同様の研究結果は古いもので、統計的問題や、実験方法に問題がある可能性が高く、本当にネズミの記憶力を向上させたと言えるかどうかもわかりません。

    人に関する研究はほとんど全て、何らかの障害や病気の患者さん対象です。病気によって認知障害をもち、その障害がよくなったというようなものです。そして健常者には効果がないと示す研究もありました。

    結局スマートドラッグが学習に有益かどうかという研究は倫理的な問題から実行がとても難しく、なかなかまともにできないので、医学関連の、学習とは関連が無いものくらいしか研究がありません。

    記憶力が下がる病気になった人の記憶力がよくなったからと言って、健常者に効果があるとは限りませんし、かと言って学習に効果があるかどうかを扱う研究は倫理的な問題があるということで大学や研究機関にとめられる可能性があります。(イギリスだと論文を書き始める前に、その研究が倫理的な問題を起こさないかを審査する部署があり、その審査を通らなかったら研究が止められるということもあります)

    副作用については色々あります。これはきちんとした論文で証明されていて、運動過多、体重増加、気分が落ち込む、頭痛、振戦、変な衝動にかられる、などが報告されています。これらは長期間服用した場合の研究ではありませんし、副作用に関する研究はたいてい増えていくので、長期間服用したら思わぬ副作用に苦しむかもしれません。精神的な面に影響する副作用は結構困りもので、お客さんや上司に変に高圧的になったりしてしまうと困りますね。

    ピラセタムは割とメジャーなスマートドラッグではあるものの、信頼できる情報は無く、アフィリエイトや販売目的の誤った情報が広まっているだけのようです。

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    理系研究者にとって生涯ずっと重要なのが助成金です。分野によってはちょっとした額かもしれませんが、大金が動くプロジェクトも多数あり、そういった場合は助成金が不可欠です。

    言語学の場合は、もちろんどんなトピックかにもよりますが、大体旅費とデータをとるための実験や調査に参加した参加者への謝礼を申請することになり、30万円から100万円もあればジャーナルに掲載してもらう論文一本分がなんとかなります。

    切り詰めればもっと安くすませられなくもないので、切り詰めて自費、もしくは所属している大学からの研究費でなんとかしてください、という感じかもしれませんが、助成金は単なる研究費としてだけではなく、研究者の能力を示す指標としても重要で、様々なことに影響してきます。

    助成金をもらえばもらうほど研究者としての立場が良くなっていくので、履歴書にこれまで得た助成を書くのは必須ですし、ホームページに自分がこれまでに得てきた助成金の金額を細かく書く研究者もいます(やりすぎかも知れませんが)。助成金をもらう→助成金をもらっているので少し良いジャーナルに掲載されやすくなる→良いジャーナルに掲載されているので次の助成金をもらえる額や可能性が増える、といった魅力的なループがあります。

    そんなこんなで重要な助成金ですが、応募するにあたって、隠されたルールというものがたくさんあります。そのルールから外れていれば助成金を得られる可能性は低くなります。

    この本ではそのルールやどういった基準で助成の対象が決められるかを事細かに説明しています。また、実際に助成を得たプロジェクトの内容や、そのプロジェクトが応募の際に用いた要約なども見れます。

    助成金を得るために書く書類の数はとても多いですし、誤字脱字などは絶対にあってはいけません。入念に、わかりやすく、客観的にある程度のページ数を書くので非常に骨が折れる仕事です。こちらの本では助成の申請のために二ヶ月弱は時間をかけて準備しろと書いています。

    それだけの時間をかけても結局何も得られない可能性が高いので(助成金の倍率に関する情報まで書かれています)、時間を無駄にしないためにもベストを尽くし、より良いものにすべきです。

    応募書類を自分でチェックするのはもちろん重要ですが、他にも何人かにチェックをお願いするべきです。その際どういった人が適任か、どういったチェック項目が必要かということまで書かれています。

    こういった生きた情報というのは、助成金に関して、これまで無かったですし革新的な本だと思います。もちろん重要なのは研究内容ですが、せっかく研究内容が良くても、応募書類の不備で助成金を逃す可能性は低くないので、こういった本で十分準備をするのがベストです。運や政治的なコネなども結果に絡みますが、そんなことまでこの本には書かれています。

    内容はもちろん英語圏の助成金の審査が中心なのですが、日本でもそのプロセスはそこまで変わらないはずですし、日本国内の助成金の申請にも役立ちます。

    私も今現在、助成のための応募書類を書いているので、ベストをつくして今年一つはなにか助成が得られたらと思います。


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    食事や部屋の明るさ、温度に関しても、できる限り勉強の効率をあげるようなものに私はしていますが、そのきっかけになった本です。

    池谷先生は研究者としてもご活躍で、そういった背景もあってか、こういった本にありがちなエセ科学要素が一切ありません。当時の最新の研究なども踏まえて、誤解や誤情報に気をつけて、わかりやすく解説されています。

    「マイナスイオン」、「ブルーベリーは目に良い」、「水素水」なんてものもありましたが、こういった非科学的なことは絶対に書かれていません。それだけでもお勧めできるくらいです。

    記憶力を強くするための方法、というのも書かれていますが、記憶というものそのものの説明にもだいぶページ数が割かれています。記憶術のようなことがほとんど書かれていないのがとても好印象です。というのも記憶術と言われるものはそれぞれ問題もありますし、本当にこういったテクニックが必須というのはごく限られた状況です。

    例えば円周率のようなランダムで論理付けで覚えられない、長い情報の記憶くらいです。ほかの事は逆に、愚直に音読やカード、アプリを使って記憶していったほうが、後々の記憶の使い勝手がよくなります。

    記憶術関連の情報がのっている本は胡散臭い情報が多いですし、場合による使い分けといった細かいところまで言及されていないのでとても使いづらいです。例えばものを覚えるときに、その覚えたい物事に関連付けてストーリーを作り、そのストーリーにそって思い返していけば思い出していける、といったものです。円周率の記憶なんかで使っている人が多い手法ですね。

    ただし記憶術なんていわれているもののほとんどは語学と相性が悪く、例えば、英語の例文記憶に応用しようとすると、あまり役に立ちません。語呂合わせなんかもそうですが、「これは~だから~だったな」、という感じで、ただ思い出すだけでも、毎回記憶の変換作業のようなものが必要になります。「コックさんだから593年だな」という感じで即座に593年がでてくるわけではなくて、「コックさん→593」という変換作業をしなくてはいけません。

    単語や例文、熟語をこういった手法で覚えてしまうと、とくにリスニングで悲惨なことになって、その変換作業をしている間にどんどん音声ファイルは進んでいき、作業をしている間はろくに聞けていなくて追いついていけません。

    DUO3.0は本当に優れた参考書で、ほとんどケチをつけられないのですが、DUOで単語や熟語を覚えるとこういった問題に直面します。「in a rage ってなんだっけ?」→「mama yelled in a rageだったから、怒ってって意味だったな」という感じで、思い出すのに変に時間がかかることがあり、試験時間が足りなくなったりリスニングでおいていかれてしまいます。

    池谷先生のこの本に書かれているのは小手先のテクニックではなくて、根本的な話がほとんどです。根本的な力というのはなかなか伸びませんし、成長に根気と時間がかかります。しかし長い目で見れば、そういった実力が大きな結果につながってきます。こういったことや読みやすさ、情報もとの正確さなども含めて本当に良い本だと思います。

    そして私はこの本を読んでからスマドラ(スマートドラッグ)やサプリの世界に旅立ちましたが、そのことに関してはまたほかのところで。個人的にスマドラはほとんど効果を感じませんし、ぜんぜんお勧めできるようなものではありませんが、そのうち書いてみます。

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    一仕事終えたのでネタを。

    「ロシアの天文学者デミン・ダミール・ザハロヴィチ氏が地球に小惑星が落ちると語っている」なんていうデマが世界中で広まってます。

    ロシア語でのこの科学者のスペルはДёмин Дамир Захаровичです。これで検索しても、今回の騒動の件以外まったく出てきません。大学にも研究所にも所属していないですし、論文も一つも書いてません。この名前はロシア人の名前としてありえる名前ですが、同姓同名の人はいないようです。

    "Дёмин Дамир Захарович" -Nasa

    ↑のようにグーグルで検索したら9件だけでした。

    Dyomin Damir Zakharovichで検索しても、もちろん論文も所属先も一切でませんが、色々な国の人がひっかかってる様子が出てきます。グーグルスカラーなんかにも一切ひっかかりませんし研究活動ゼロです。

    ロシアで一番古い情報は
    https://vk.com/wall-32108399_4735
    ぱっとみた感じここっぽいです。
    全ての言語を含めて一番古いのはなんと英語のサイトでロシア語ではありませんでした。
    http://www.someonesbones.com/blog/putin-warns-obama-tell-the-world-about-nibiru-or-i-will/
    ここから広がったデマっぽいですね。この人類の危機について、プーチンはすでにオバマと密談しているという内容です。すごいですね、電話での密談らしいですが。

    「マスコミが書けない真実を書くニュースサイト」らしいですが、唯一ライターらしき名前で出てくるのはVladimir Vladomiravicというロシア系の名前です。Vladのあとのoはいりませんよね。寄付金なんかも募っているので怪しさ満点です、新聞やニュースのサイトで営利性丸出しというのは。


    アクセス数稼ぎの一環なんでしょうが、これだけ嘘が広まるというのは興味深いというか感慨深いというか。なんだかこういったことをテーマに良い論文書けそうですね。一番古い記事では胡散臭さ満点ですが、広がるにつれて、徐々に少しずつ論法が変わって洗練されていくので、そういったところもある意味面白いです。



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    基本的に私はカタカナ英語には反対で、カタカナ英語を無くすために中学校の教科書などにも発音記号の説明や発音練習を盛り込んで欲しいと思っています。ただし、この本だけは例外です。

    英会話で一番重要なのは結局通じるか通じないかです。文法がぐちゃぐちゃだろうが、カタカナ英語だろうが、通じるのなら誰も文句を言いません。逆に文法が完璧で、カタカナ発音では無いとしても、ネイティヴが理解できないような英語なら問題と言わざるを得ません。

    そういった事を踏まえると、カタカナ英語も通じるのなら問題ないです。若い方はまだ発音が矯正しやすいかもしれませんが、40代後半くらいの方々は色々な意味で矯正が難しくなりますし、下手にネイティヴ的な発音を目指すよりは、通じるカタカナ英語を完成させたほうが遥かに容易です。

    この本で紹介されている例文は、確かに伝わりそう、と思えるもので、なおかつ普通の「スペルそのままカタカナ発音」よりは遥かに良いものばかりです。なので、今現在の英語の発音がいわゆるカタカナ発音で、時間的にも発音練習の余裕が無くネイティヴのような発音は目指さないという方に特に有益な情報ばかりです。

    根本的なことを言うと、特に男性にお勧めです。カタカナ発音が多いのは男性だと思われる方が多いのではないでしょうか。女性はネイティヴに近い発音ができるように感じられますが、典型的なカタカナ発音は男性の場合非常に多いです。これは発声器官、筋肉の構造上仕方がないことで、男性の器官ほうが非母国語の発声に不向きです。

    私もそうですが、なんとなく、男性のほうが英語の会話を躊躇したり、引け目を感じてしまうことが多いように思います。そういったコンプレックスを感じる人が多いなかで、池谷先生の文章は優しく易しく、カタカナ英語について説明しています。

    私のような末端の人間からすると池谷先生のような人は挫折なんて無縁のようにも思えますが、謙虚にご自身の英語について書かれています。こういった実直さから垣間見える人間性も、先生の能力の高さを間接的に示しているようにも感じます。

    池谷先生はすさまじい業績を稼いでいて、優秀といわれる人達が必死に毎日働いても到達できないような境地にすでに達しています。きちんと高いレベルで一定数の研究論文を書いて、学校でも教えて、非研究者でも読めるような本まで書く。これらを全て高いレベルでこなすというのは本当に難しいことで、ものすごく優秀とされる人でも研究と教育、もしくは本と教育くらいで限界になります。

    この本での文章も非常に明快でわかりやすく、尚且つ間違った情報を与えないようにという配慮が端々から感じられます。まさに論文を書く上で重要な点でもありますし、こういった配慮のおかげでとても読みやすい文章です。誰でも読めるし、読んだら誰でも理解できる、そんな本です。

    お勧めできる層や状況はもしかしたら少し狭いかもしれませんが、英語の発音がすでによく出来る方でも新しい発見がある、読んでみる価値のある本です。


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