日本語を学ぶための本は、世界的に見ると、とても少なく良い参考書がほとんどありません。これは非常に残念なことです。日本以外で出版された日本語の参考書は、非ネイティヴ、もしくは非専門家の日本人が書いたものが主流で、間違いが非常に多く、間違った知識を身につけることになります。いきなり日本語で書かれた本を使うのは無理ですし、せいぜい英語で書かれた日本語の参考書を使うしかありませんが、英語で書かれた日本語の参考書もそこまで良いものはなかなかありません。

そんななかでも有益なのがこの「みんなの日本語」で、日本語で書かれた参考書本編とその参考書を解説した別冊にわかれています。その別冊は様々な言語で書かれていて、ロシア語、ドイツ語、中国語、韓国語、タイ語などで日本語が勉強できます。

日本語の間違いも、別冊の言葉のなかの間違いも、ほぼ無いというのは、こういった本としては非常に珍しいことです。

文章の質もとても良く、問題がある参考書にありがちな「こんな単語使う場面が少ないし初級者が覚える意味が無い」という問題や、「こんな限られた状況でしか使わないフレーズを覚える意味が無い」という事も少ないです。

しかもそれらのフレーズが別冊の本を買えばタイ語やインドネシア語といった、日本では参考書が少ない言語の優良フレーズ集として登場するので、日本人がこういった言語を学ぶ際のフレーズ集として使えます。単語を入れ替えれば様々な表現が可能になるフレーズばかりの良著なので、日本人の方にもお勧めです。

日本語を学ぶ場合この本にはいくつかの注意点や問題があります。まず、リスニング教材のCDの音読があまりにも速く、とても初級者むけとは思えないものになっています。

また、この参考書のなかの練習問題が、何を回答するべきなのか、何を答えてほしいのかわからないものがあまりにも多いです。例えば、絵だけが記載されていて、マルかバツで解答するような問題が、どういう場合にマルにするのかといった説明も無く、問題文そのものもありません。また、その絵の描写も不明瞭で、答えとなりうるものがいくつかあったりします。練習問題の意図を理解できずネイティヴの日本語話者でも間違えたり、練習問題の内容を理解するためにあまりにも時間をさかなければならないようなものです。

そういった練習問題の難点が別冊で解説されてカバーされていれば良いのですが、別冊では練習問題に関するコメントがありません。

日本語教材で本当に優れたものは少ないので、完璧なものを追い求めるわけにもいかず、この本はそれでも助けになるというのが現状です。また、貧しい国の人々にとっては別冊と本編を両方購入するのはとても高くて難しいでしょう。若い人が日本語学習者のほとんどなので、なおさら難しいです。とても大きなプロジェクトで作成された本だと思われるので、そのぶん高くなるのは仕方ないですが。。。

フレーズはとにかく良いですし、母国語で日本語の文法を、しかも間違いのない日本語例文で、学べるというのは本当になかなかないので、価値ある本だと断言できます。練習問題には疑問が残りますが、例文集、文法書として使えばこれ以上のものはないです。