志望校を決定する一番良い手段は信頼できて相談できる研究者を自分の周りで見つけることです。アメリカやイギリスの傾向や、自分が専門としている分野の教授陣で誰がちょうど良いか、誰なら指導に力をいれてくれそうか、そういったことが相談できると一番です。

博士課程は基本的に指導教官との関係が重要なので、予め進路先の教授について誰か信頼できる人に尋ねることができるとより安全になります。

博士に合格するにしても、自分の研究テーマや興味とその学校の教授陣のそれが異なるとたいてい落とされますし、うまくいって合格して留学しても面倒を見てもらえないことも多いです。指導教官と自分の研究テーマが一致しているかどうかは合否にも影響しますし、事前に調べることが必須です。それと教授の人柄についても調べられたら調べておいたほうが良いでしょう。忙しすぎて一切指導しないような教授にあたってしまうと留学してもほとんど独学のような状態になります。

http://www.ratemyteachers.com/
こちらのサイトでも大学の教授陣についてのレビューのようなものを見れます。教授からしたら匿名でこんなことを適当に書かれるのはたまったものではないですが、ここで「人柄に問題あり」というようなレビューが多い場合は気をつけたほうが良いでしょう。学生は楽に単位をくれる先生が好きですし、それは良い先生という評価に結びつくべきではありませんし、その点も考慮しておくべきです。先生が冷たいと書かれていても、単にその学生の態度が悪かったり不真面目だっただけかもしれませんし、評価が悪くとも同様の書き込みが多いかどうか、具体例があるかなど考慮すべき点が多いです。

これ以外にも留学先の教授を知るというのには大きな意味があって、それは合否に直結しうるということです。学会などで直接会っていて好印象をもってもらっていると合格率が上がります。

そのほかにも英語圏の受験に重要なのが推薦書です。日本人からしたら推薦書がそこまで重要とは思えませんよね。英語圏であればどこでも、その分野で大きな業績を残している人、そして尚且つ志望校の教員と交友関係もあるような研究者から直接推薦書や、「こういう人が受験するから、実力はあるし面倒を見てあげてほしい」というような連絡を送ってもらえばかなり受験が優位になります。

国によってここからはある程度異なるのですが、ツテやもしくは自分からの積極的なアプローチ、もしくはその両方によって、志望校の大学教授に気に入ってもらって推してもらう段階までいくと、イギリスの場合はわりとそのまま合格できることが多いです(IELTSの点数など足きりをパスしていれば)。それぞれの教授がわりと合否の決定権を持っているようです。アメリカやカナダはその専攻の教授それぞれが推したい学生を決めてそれを会議か何かで話し合い、その後選ばれた受験者がもっと多様な教授たちの目に触れて、それからまたその教授たちで話し合って合否を決めるというプロセスが多そうです。大学によって異なるのでなんとも言えませんが、イギリスでは個人の教授が決定権を持つ一方で、アメリカやカナダはより話し合いをするという印象です。もちろん状況にもよりますが。

つまりはIELTSやTOEFLなどの足きりさえパスすれば、イギリスのほうがツテがあれば合格が楽です。ツテが無くても合格している人ももちろん見てきていますが、予め志望校の教授に指導できるかどうかを相談したり色々とやり取りをするのがイギリスでは必須で、それ無しでは受験するなという大学もあるくらいなので、とにかく教授に気に入ってもらえるかどうかが非常に重要です。

アメリカやカナダでも、志望校の教授の知り合いの研究者もしくは著名な研究者から紹介されて頼まれた受験生というのは有利で、最初の審査はパスしやすいでしょうが、その後の話し合いでどうなるかわかりません。そういった不確定要素をなくすためにとにかく提出物のスコアや質を上げるしかありません。逆にツテは無いから実力で勝負、というならイギリス以外がお勧めかもしれません。オーストラリアに関してはこのへんはわかりません。

これは制度の違いがそのまま反映されている感じで、アメリカやカナダでは指導教官を変えることもわりと自由で、博士課程とは言っても実質修士課程一年生から開始なので後でどんどん研究テーマも変えられますが、一方でイギリスは基本的に3年間で博士論文を書き終えるための下準備が整っていないといけませんし、指導教官も基本的に変えられず、なおかつ何をするにしても指導教官の許可やサインが必要になり関係がとても密です(なので指導教官とウマが合わないと大変)。