言語学に興味があるけれども何を読んでいいのかわからないという方に最もお勧めしたいのがこの本です。

町田先生の分かりやすい説明のおかげで、どんな人でもソシュールの功績や基礎を学ぶ事が出来、それはそもそも言語学の基礎を学ぶことにつながります。

ロラン・バルトやジャック・ラカンなどが、かつてのいわゆる文系といわれるものの典型ともいえる考え方をより科学的に変えた時代、その中で近代言語学の父と言えるのがソシュール。

今の学術誌に投稿する論文で引用されるようなことは少ないと思いますが(分野にもよりますが)、それでも基本に立ち返ってソシュールを学ぶと毎回大きな発見があります。

今の言語学はかなり理系とも言える要素が多く、ほとんど理系とも言える分野もあります。このように理系の方向へ言語学の流れが動いた要因の一端はソシュールです。

言語というのは、外国語を学習しているとわかると思いますが、体系的にルールで説明できる規則と、なかなか説明できないものがあります。

たとえば英語の疑問文は基本的に倒置が伴われますが、じゃあhow comeで導かれる疑問文は倒置がなかったりと常に例外が付きまといます。

なのでルールを設定して規則を作るというのが難しく、もともとは規則化にそこまで力が注がれていなかったのですが、ソシュール以降は様々な形で多くの言語学者が規則化もしくは体系化のためのシステムの構築に尽力しました。

こういった言語学のことを学び、言語を知ることで、外国語学習の方針も見えてくるでしょう。私がこういった本を読んで行き着いた答えは、体系的にできるかぎりわかりやすく、覚えやすく情報をまとめて学習しよう、ということです。そしてまた、生成文法や最適性理論を学び、体系化できない知識のための大量のインプットの必要性を痛感しました。

多くの方が理解していることだとは思うのですが、回り道をしてから理解すると深まるだけではなく、様々な有益な知識が潜在的にもつきます。意味のある回り道を出来る人が結局は高くまで上れるかもしれません。