基本的にはMBAの出願のためのエッセーと推薦書の書き方の本です。ロースクールについての記述は少なめです。

エッセーに関しては、個人的にはこちらの本がお勧めです。

「新装版 大学院留学のためのエッセーと推薦状」の最大の価値は推薦書の項目だと思います。こちらはMBAやロースクール以外を受験する人にも対応できます。

欧米圏では日本と違い推薦書が非常に重要で、出願者というのはたいてい皆同じような能力なので、出願動機所、研究計画、そして推薦書が大きく合否に影響します。

しかも問題なのは日本のような定形文の推薦書では全くアピールにならず、良い推薦書を書くにはアメリカやその国の推薦書の形式を知っていて、留学経験などがある人に書いてもらうことが一番です。

そして自分が推薦書を書く立場になると、なかなか難しいものでどういった文体にしたらいいのかなかなかわかりません。しかも参考になる本がこれ以外にほとんど無いので、これしかないと言ってもいいくらいです。

表現もどのようにしたらいいのか、Dear Sir or Madamで書き出していいのか、被推薦者の名前はファーストネームか、Mr. Ms.をつけるか、などなどわからないことも多いかもしれませんが、それらもこの本が参考になります。

あとは書く内容というのももちろん重要で、「被推薦者さんはとても優しくていい人です」という表現は、例えば、ただのスペースの無駄になりかねません。もし人の良さがアピールできるほどのものであれば「被推薦者さんは私の研究室で他の院生がデータの処理に手間取り締め切りに間に合わないような時に、自作のプログラムを改造してその院生のデータ処理を助け、尚且つ自分でもすばらしい論文を期間内に書き上げました」といった具体性や、人柄だけではなくて研究者としての能力も記述されていると、推薦書としてより良いものになります。

こういった具体性の重要さ、大学側が推薦書から何を知りたがっているか、ということについてもこの本で多くを学べるので推薦書を書く場合に特にお勧めの本です。私自身も最近は色々な人から推薦書を頼まれますが、この本が非常に頼りになります。もちろん例文はすべて英文なので、いくつかの例文からちょうど使えそうな例文を選んできて、都合が良いように単語を入れ替えたら立派な英語の推薦書の完成です。

基本的には、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどに対応しているという感じで、イギリスの推薦書はもう少し客観的というか、事実や根拠などを淡々と並べていく感じで、あまりフレンドリーな雰囲気が無い推薦書が多い印象があります。この本を参考に、イギリスの機関むけに推薦書を書く場合は、少しこういったことも考慮して書くとよさそうです。