教材が限られるロシア語学習のなかで特に重要な本と言えるのがこの「ロシア語で読む罪と罰」です。対訳本はそれ自体語学学習にむいているのですが、この本のすばらしい点は2時間もの音声CDがついていることです。

ロシア語教材で特に困るのがリスニングです。このブログで何度も強調していますが、リスニング対策は効率的な語学学習に不可欠なのです。リスニングは自分でスピードをコントロールできないリーディングのようなもので、リスニングをしていれば自動的に読めるようにもなりますし、なんども繰り返して聴けば、フレーズを覚えてしまって、それを会話や作文に応用できます。特にシャドーイングをすると後者の二つの技能が飛躍的にのびます。シャドーイングはリスニングしながら、聞こえた音声をそのまま真似して口にだすというもので、スクリプトは見たり見なかったり、黙読したり、色々やり方を混ぜながらやると効果的です。

ロシア語でシャドーイングをするというと、ロシア語のとっさのひとこと、などがあるのですが長文のリスニングの対策ができません。たいていの試験のリスニングはある程度の長さがありますし、それはそれで慣れが必要です。

教材が不足しているなかで、その穴をもっとも綺麗な形で埋めてくれる本とも言えるのがこの本です。実際の「罪と罰」では文学的な表現があるので、文法上も、なかなか日常生活や試験にはでてこない表現が多く、しかも自力で読むのがかなり困難です。しかしこの本では比較的平易な、とはいっても上級者にも対応できるような、ロシア語で書かれた文章に書き変え、それを朗読しているので外国人の学習に適したものになっています。

シャドーイングをしてれば勝手に語学力が上がるのですが、それには大量に色々な文章をシャドーイングしまくる必要があります。できれば異なる種類のものをシャドーイングすると良いので、ぜひこの本とロシア語のとっさのひとことを何度も何度もしつこく聴いて、口に出して、ロシア語を学習したいと私自身も思っています。