言語学者が選ぶ最強の語学書集(+語学学習法とか研究とか統計とか)

これまで数百冊の語学参考書を買ってきたので、特にお勧めできるものを言語学者の観点からご紹介。 語学書を活用する為の効率的な学習法や言語学の話題も。

    効率的な学習法、語学書の活かし方

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    食事や部屋の明るさ、温度に関しても、できる限り勉強の効率をあげるようなものに私はしていますが、そのきっかけになった本です。

    池谷先生は研究者としてもご活躍で、そういった背景もあってか、こういった本にありがちなエセ科学要素が一切ありません。当時の最新の研究なども踏まえて、誤解や誤情報に気をつけて、わかりやすく解説されています。

    「マイナスイオン」、「ブルーベリーは目に良い」、「水素水」なんてものもありましたが、こういった非科学的なことは絶対に書かれていません。それだけでもお勧めできるくらいです。

    記憶力を強くするための方法、というのも書かれていますが、記憶というものそのものの説明にもだいぶページ数が割かれています。記憶術のようなことがほとんど書かれていないのがとても好印象です。というのも記憶術と言われるものはそれぞれ問題もありますし、本当にこういったテクニックが必須というのはごく限られた状況です。

    例えば円周率のようなランダムで論理付けで覚えられない、長い情報の記憶くらいです。ほかの事は逆に、愚直に音読やカード、アプリを使って記憶していったほうが、後々の記憶の使い勝手がよくなります。

    記憶術関連の情報がのっている本は胡散臭い情報が多いですし、場合による使い分けといった細かいところまで言及されていないのでとても使いづらいです。例えばものを覚えるときに、その覚えたい物事に関連付けてストーリーを作り、そのストーリーにそって思い返していけば思い出していける、といったものです。円周率の記憶なんかで使っている人が多い手法ですね。

    ただし記憶術なんていわれているもののほとんどは語学と相性が悪く、例えば、英語の例文記憶に応用しようとすると、あまり役に立ちません。語呂合わせなんかもそうですが、「これは~だから~だったな」、という感じで、ただ思い出すだけでも、毎回記憶の変換作業のようなものが必要になります。「コックさんだから593年だな」という感じで即座に593年がでてくるわけではなくて、「コックさん→593」という変換作業をしなくてはいけません。

    単語や例文、熟語をこういった手法で覚えてしまうと、とくにリスニングで悲惨なことになって、その変換作業をしている間にどんどん音声ファイルは進んでいき、作業をしている間はろくに聞けていなくて追いついていけません。

    DUO3.0は本当に優れた参考書で、ほとんどケチをつけられないのですが、DUOで単語や熟語を覚えるとこういった問題に直面します。「in a rage ってなんだっけ?」→「mama yelled in a rageだったから、怒ってって意味だったな」という感じで、思い出すのに変に時間がかかることがあり、試験時間が足りなくなったりリスニングでおいていかれてしまいます。

    池谷先生のこの本に書かれているのは小手先のテクニックではなくて、根本的な話がほとんどです。根本的な力というのはなかなか伸びませんし、成長に根気と時間がかかります。しかし長い目で見れば、そういった実力が大きな結果につながってきます。こういったことや読みやすさ、情報もとの正確さなども含めて本当に良い本だと思います。

    そして私はこの本を読んでからスマドラ(スマートドラッグ)やサプリの世界に旅立ちましたが、そのことに関してはまたほかのところで。個人的にスマドラはほとんど効果を感じませんし、ぜんぜんお勧めできるようなものではありませんが、そのうち書いてみます。

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    昔流行った睡眠学習ですが、最近は関連グッズも発売されていませんし、書籍もここ数十年発売されていません。

    流行ったものの効果が無いということで見向きもされなくなりましたが、今でも睡眠学習についての研究は行われているようです。

    杉村太郎さんの英語学習本に影響されて、夜寝る際はmp3プレイヤーをヘッドフォンで聞きながら寝ていたのですが夢の中で変なザーザーとした雑音がうるさくなり、なんだろうと思いそのまま起きたら、それがmp3プレイヤーで聞いていた英語音声だったことがわかりました。眠りが浅い、起きる前の状態ですらただのノイズにしか聞こえず、声とすら認識しなかったので、この時に睡眠学習に懐疑的になりました。

    ただ、寝ている間に聞いても効果は無いのですが、私は寝入るまである程度時間がかかるのでその間無駄にならないという意味でやる価値があるように思えました。

    眠りに落ちる前というのは考え事をしていましたが、論文などの良いアイデアが思いつくことも無く、あまり有意義ではありませんでした。アイデアを思いつくことがあるのですが、冷静になると大して良いものではなく、起きていてきちんと資料をみながら考えている時のほうがきちんとした着想を得られます。

    そんなこんなで睡眠(に入る前)学習を改善しようと色々して得た結論は、まず音量をきちんと調節することです。ヘッドフォンも使わずスピーカーから聞いて、なおかつ耳をすませばきちんと聞き取れる程度の音量が睡眠の質を下げずベストでした。

    それと何を聞くかが大切で、一番よかったのはその日にシャドーイング、もしくは学習用に黙読したテキストです。記憶が新しいので、小さい音量でも聞き取れますし復習になります。


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    仕事をしながら、そしていくつかの外国語を学習するというのは一見難しい感じがするのですが私程度の語学力であればほとんどシャドーイングだけで到達できます。

    一般的にはシャドーイングのやり方は、リスニングをしてその聞こえてきた声をそのまま真似して声に出すものだとされています。ただ、色々なバリエーションをもたせなければ効果は薄いものになってしまいます。

    まず、理解していないものをいくらシャドーイングしていても、得られるものがとても少ないです。何かよくわからないけど聞こえたように口に出そう、というやり方をしてしまうと、そのよくわからない箇所は時間の無駄になりかねません。わかっていないことをいくら繰り返してやってもほとんど無意味です。

    こういった理由から、シャドーイングの際は音声ファイルが音読しているそのテキスト自体を黙読して、意味がわからない単語の意味を書き込んで、文章自体をあらかじめきちんと理解するという準備が必要です。

    他にも必要な準備は発音の確認です。発音辞書できちんと調べるのも一つの手ですが時間がかかるので、手っ取り早く発音を確認したい場合はスクリプトを見ながら聴くことに集中すればよいだけです。その際に自分が覚えていた発音とその録音の発音が異なっている場合は、その正しい発音をIPAなどでテキストに書き込むと良いでしょう。

    英語教育界のスター、今井宏さんも強調していて、今井さんは音読を勧める本まで出版しているのですが、とにかく声に出すということ自体が非常に効率的な学習方法の一つです。

    ディクテーションのような書く行為ももちろんそれなりに有効なのですが、シャドーイングを数回こなす間に一度できるかできないかという回転数の遅さと飽きやすさが大きなネックになります。

    勉強法に正解は無く、時間をかけて努力さえすれば結果はでるのですが効率は異なります。良い教材を選び、効率よく勉強すれば語学力はどんどん伸びます。

    しかし重要なのは好きな勉強法かどうか、ということでシャドーイングを強くお勧めしますし、効率的だと信じていますが、どうしても好きになれない場合は無理をする必要はありませんし、自分にあった方法を探すべきです。単語を覚えるのならカードで覚えるのが同様にベストだと思っていますが、人によってはカードが嫌いで本でしか覚えられないという場合もあります。

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    効率的な学習のために、いつも私がお勧めするのはリスニングです。リーディング対策ばかりしていても聴解対策にはなりませんが、聞けるようになれば読めるようになります。ですので時間効率的にリスニングは優れていますし、聞いて覚えた単語やフレーズをそのまま会話や作文で使うことができます。特にシャドーイング、聞きながら聞こえた音声をそのまま口に出す方法は記憶の定着や発音の矯正の意味でも有益で、特にお勧めしたい方法です。

     

    子供が言葉を覚えるように、とにかく耳から語学を学ぶというのは第二言語習得論の分野でも認められている学習方法で、移動時間などに行いやすいということも利点です。

     

    学校や仕事先に向かう場合は電車や車での移動になると思いますが、読む事と比べてmp3プレイヤーや携帯電話でリスニング教材を聞くのは容易です。酔う心配もありませんし、学習効果も十分あります。毎日のちょっとした移動時間も一年間での合計ではそれなりの時間数になるので有効活用するとしないでは語学力の伸びに大きく影響します。

     

    また、人にもよるのですが、私のように寝つきがあまりよくない人の場合、寝入る前にベッドのなかでリスニング教材を聞くのは時間を無駄にしない学習法です。あとは仕事で単純な作業、たとえばエクセルで単純作業をしているときにmp3を聴きながらやるというのも有益です。最近はロシア語でこの方法をずっとやっています。

     

    聞く音声をどう選ぶかというのも非常に重要です。集中して聴くことができる環境ではありませんし、辞書をひいたりすることも難しい環境で聞くことになります。そういった意味でもともと何度か聴いていて、意味も把握している文章を聞くことをお勧めします。この点が一番重要で、キクタン、やマジックリスニング、といった教材も名前だけ聞くと聴く作業中心の学習法のように思えますが、ただ聞くだけではなくて読んで内容を理解しておいたほうが効率は遥かに上がります。

     

    学習というのは自分の穴を埋めていく作業がとても重要ですが、復習もまた重要なことなので、こうして既にある程度理解しているものを復習して、さらに出来るならばフレーズのいくつかを暗記してしまってスピーキングやライティングに活用できるようになるとより良いです。

     

    時間効率を突き詰めると、音声ファイルはあらかじめ編集して不要な部分はカットしておくべきです。日本語訳の朗読や空白の部分、音楽の部分、効果音がなる部分などはこういった学習法では不要なので、カットすることで短時間でより多くの音声を聞くことができます。簡単にmp3を編集できるソフトはたくさんあるので、こういったソフトで不要部分をカットした音声を何度も聞くべきです。そうすることで限られた時間でより多くの音声を聞くことができます。

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    語学学習上、外国人の恋人と一緒にいるのはすさまじくメリットだらけです。色々な国の恋人がいたら語学力はすごいことになるでしょう。倫理的な問題でまわりからの目線もすごいことになるでしょうが。

    そもそも異性と外国語で会話するのが学習上効果的だといわれています、エセ科学の可能性がありますが。言語交換でお互いの母語を教えあうという関係も異性だと長続きするようですが、同性だとなかなか続かない傾向があります。もちろん恋愛に発展してしまうと色々と面倒なことも起こりかねないので難しいですが。

    外国人の恋人と、その恋人の母語で会話しているととても良い練習になりますし、尚且つ長時間の練習です。ネイティヴとのマンツーマンレッスンとなると1時間3000円くらいしますが、こちらはただです。

    また、ネイティヴのチェックが必要な書類を書く際も助けてもらえます。大学院の出願書類や、作文、論文、就職活動のための履歴書やカバーレターの作成などなど、あらゆる面でネイティヴチェックがお願いできます。友人でももちろんいいのですが、こういった書類を作成する場合は何度もネイティヴと自分とでやり取りをしてよりよいものにしていく必要性があり、友人にたいしてそういった時間を長時間拘束するのは難しいです。

    勉強をしていてわからないことを質問する、ということに関しても友人にはそんなにしょっちゅう質問していると面倒くさがられることもありえますし、恋人に軽く聞けるととても助かります。

    気をつけるべきなのは、同じ人とばかり話していると偏ってしまう可能性があるということですが、あまりにもメリットが多すぎて気になりません。

    語学学習のために恋人を作るべきではないですし、恋人だからといっていつも頼りにするのも負担をかけてしまいます。何事も良識ある態度でなければいけませんね。

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    アニメ英語は字幕も英語音声も間違いが少なく無いので、残念ながら勉強にはお勧めできません。フランス、ドイツ、イタリアなどで発売されているアニメも同様です。ここでのアニメは日本産アニメの海外発売版のことで、アメリカやイギリスなどの海外で作られたアニメは含みません。

    英語圏のアニメ好き達の間でよく議論の対象になるのが、英語音声吹き替えでアニメを見るほうがいいのか、英語字幕で見たほうがいいのかということです。これは本当にどちらが好きか、平等に意見が分かれますが、つまり音声も字幕も両方間違いが多いのです。英語話者が話しているのだから間違っていないと思うかもしれませんが、状況によっては間違いだらけの原稿をただそのまま読み、録音するのです。録音のスタジオでは声優さんが訳された文章に対して質問したり書き換えを提案して書き換えるような時間はありません。

    さらに、文法は正しくても、語彙の使い方が不適切だったりと問題が山積みです。例えば日本語でいうと子供が本屋で「この書物買ってほしいでござる」なんて言っていたら違和感がありますよね。こういった問題が、文法の間違い以外にもよく見られます。間違えて覚えて英会話で使ってしまうと色々とまずいことになります。

    こういった理由はアニメの流通にお金があまりかけられてない事です。正式なプロセスとして、理想なのは

     日本人が英訳し、その英訳したものをネイティヴが、できれば日本語の原文も参考にして、チェックし添削→添削されたものを日本人がチェックし、ネイティヴからの翻訳上の質問に答えるか、書き直しをする→その後再度ネイティヴが添削→最後に日本人が書き直された箇所に問題がないかチェック

    これくらいしても完全なものにはなりませんし、こういった長い作業では人件費がとてもかさみます。こういった理由から、ネイティヴのチェックは最低限で、安かろう悪かろうでそのまま販売となります。

    私の親戚はフランス人で、日本語のアニメにフランス語字幕をつける仕事をしています。彼女は非常に日本語が堪能で、ほとんど日本人と変わらないくらい日本語を理解していますし、ネイティヴなのでフランス語の表現で困ることはありません。こういった人材が増え、アニメの関連会社が雇えばだいぶ状況は良くなるのでしょうが、現状は非常に厳しいものです。そもそも日本人が英語を学ぶのと同様に、もしくはそれ以上に、欧米人が日本語を学ぶのは難しいのです。

    こういった現状から、アニメの中で用いられる字幕や音声には間違いが多く含まれ、そのためにそれを参考に英語を学ぶことはできないのです。

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    かなり長期間、日本には帰っていなかったのですが、先日帰国して昔の、ほこりをかぶった単語カードを実家で発見し、写真におさめてみました。海外の家にまた別に単語カードがあり、写真におさめられているカードは英語とフランス語中心です。カードの枚数はおそらく3万から4万枚くらいです。

    単語は言語の土台、基礎の基礎です。単語力は語学力に直結します。スポーツ選手の筋肉トレーニングと同じです。大学院受験をしていた頃は特に、英文和訳や仏文和訳の必要があり、単語力が必要だったので、ひたすら単語を覚えていました。その後もTOEFL対策やGREやフランス語の試験対策、などなど多くの単語をカードで覚えました。効率の面で絶対にカードに勝る単語学習法はないと思っていますし、杉村太郎さんや多くの方々が推奨されている勉強法です。

    ただしこれらは短期的に語学力を、比較的簡単に、上げてはくれるのですが、単語学習だけではいけません。カードで簡単に覚えられるので気分がよくなり、ついつい単語ばかりやってしまいますが、単語だけで語学は完成しません。

    筋トレばかりしていては野球が上達しませんし、野球の練習を真剣にしていれば野球に必要な筋肉がついてきます。野球選手の落合博満さんも言っていますが、野球のための筋肉は野球で培われますし、語学に必要な単語力も語学の練習を通して自然に身につきます。

    ある程度のレベルまでは単語力をあげるだけでだいぶ語学力が上がるのですが、それ以上、ネイティヴと同等に問題なく意思疎通ができる段階まで実力をあげるには、学んでいる言葉に触れてできるかぎり頻繁に使うしかありません。

    これらのカードには思いでがつまっていて、応援してくれていた友人たちが書いた単語カードもたくさんあります。このカードの山をみるだけで、当時の自分に励まされるような気持ちにもなります。あの頃の私の目標は今ほど高くなく、外国語試験である程度高い点数がとれたらいいくらいのものだったので、これで十分でした。

    ただ、多読や、特に多聴は単語力のみならず、文法理解力や他の語学に必要な技能全てを成長させてくれるので、ネイティヴに近い語学力を目指す場合は、効率の面ではこれに勝るものはありません。

    結局はゴールがどこにあるのか、です。大学受験や大学院受験であれば、単語をこのようにカードで覚えて、あとは長文読解と文法対策、過去問でたいてい問題ありません。TOEIC対策も過去問、文法関連問題集、単語対策で大丈夫です。TOEFLやIELTSでもそこまで高い点数が必要ではないのなら単語対策も有効です。これらがゴールなら単語学習というものに意味が十分あります。

    TOEFLやIELTS、GREといった非常に難しい英語の試験で、日本人がほとんどとれないような点数をとりたい、もしくはネイティヴに限りなく近い英語力、そういったものを求めるのであれば多読と多聴に勝るものはありませんし、単語対策はしなくても勝手に覚えられます。


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