言語学者が選ぶ最強の語学書集(+語学学習法とか研究とか統計とか)

これまで数百冊の語学参考書を買ってきたので、特にお勧めできるものを言語学者の観点からご紹介。 語学書を活用する為の効率的な学習法や言語学の話題も。

    フランス語・語学学習書

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    フランス語といえば動詞の活用が常に問題となりますが、この本では活用が実に綺麗にまとめられていて、見やすく覚えやすいです。

    様々な辞書や文法書が体系的に美しく活用をまとめることに尽力していますが、この本が一番といっても良いでしょう。活用のみで他の情報は無くコンパクトにまとまっています。

    活用を覚えるのが苦手、という人や活用を調べるのが面倒、という人には必須でしょう。

    ネイティヴがネイティヴの為に書いた本で、なおかつフランスでもおおくの人が人々が購入しています。外国人でも問題なく使えるので、お勧めです。

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    DELF/DALFの公式問題集です。これらの試験を受ける場合、年に何度も受験できないので時間配分なども含めて事前に十分これらの参考書で準備しておく必要があります。

    TCFのところで書いたことと内容がかぶりますが、スクリプトがついているインターネットラジオrfiのバックナンバーを繰り返し聞いてスクリプトを音読してシャドーイング。できる限り多くの記事を、できる限り何度も反復。
    加えてこちらの本の例文を暗記すると読解、聴解、作文、仏会話全てに役立ちます。

    C1対策の有効な手段としてはライティング用のテンプレです。兎にも角にもテンプレです。これで点数を稼げるのでお勧めなのですが、テンプレを書くにもいろいろとコツがあります。

    まず、どんな問題がでても対応できるテンプレにするために、幅広く使えるフレームを用意することです。ムダにお金がかかる、時間の浪費になりかねない、政治家は推奨して大衆はそれを鵜呑みにするが実益は無い、これら三つのトピックをできる限り難しい語彙と難しい文法構造で書いてテンプレートとして、あとは空いているところを平易なフランス語、上記の久松先生の本の例文をもとにした文章で埋めればかなりの点数がとれます。経験的に、多少こじつけになっても、これらの三つのトピックが使えない問題に出くわしたことはありません。

    難しい語彙と文法構造で、金、時、政治に関係していて幅広く使えそうな文章例を見つけるにはフランスのアマゾンからバカロレアの哲学の参考書を買うのがお勧めです。Bac Philosophieで検索すればいろいろな本がでてきます。これらの本から使えそうなフレーズをそのまま持ってきて文章の骨格、テンプレにします。

    テンプレを作ったら、問題を一つ解いてみて、その文章をネイティヴのフランス人にチェックしてもらい、テンプレの完成度を上げます。昨今では日本にもたくさんフランス人がいますし、SNSなどで頑張ればお願いできます。ネイティブのフランス語話者が先生や留学生として在籍している学校にいるのならばお願いしてみましょう。



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    フランス語もいろいろな試験があるのですが、その中でTCFがお勧めなのでこちらの本とCDをお勧めしたいと思います。

    TCFはフランス語版TOEICのような感じでライティングとスピーキングがありません。そのぶん他の試験よりもはるかに楽です。時間をリーディングとリスニングにだけかけられるというのは目標スコア、留学に必要なB2もしくはC1レベルまでスコアを上げるのが容易であることを意味しています。

    学校や学部によってはTCFを認めないこともあるので予め確認が必要です。

    この本と別売のCDでテストの概要をつかむ事がまず重要です。年に何度も受けられる試験ではないので、時間配分なども含めて事前にしっかり確認しておかなければいけません。

    その後はスクリプトがついているラジオ、rfiのバックナンバーをひたすら聞いてスクリプトを音読してシャドーイング、加えてこちらの本の例文を全て暗記してしまうとどんどんスコアがあがります。英語と比べると参考書の不足などいろいろ問題がありますが、それでもフランス語は学習できる環境が整っています、もちろん学校に通う必要もありません。

    DELF/DALFの対策が必要な場合、教材不足に悩まされるのですが、読解と聴解は上記の方法で問題ありません。仏作文と仏会話についてはまたこちらの記事で。

    TCFと同様のテストとしてTEFがありますが、規模が小さく、この試験のスコアを受け付けている機関も多くはありません。残念ながら試験の完成度もETS(英語)などのものと比べると劣ってしまうのでこちらの試験はお勧めしません。



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    フランス語教育の世界を変えた、久松健一先生の名著  『これは似ている!英仏基本構文100+95』です。

    英語では『新・基本英文700選』や『Duo 3.0』などのおかげで、優れた例文とともに文法や語彙を覚え、一冊こなすだけで読む聴く書く話す、全てを効率的に幅広く一気に向上させることが出来ます。このような優れた本は他の外国語の学習書ではなかなか見つかりません。

    そんな中で輝いているのがこの本です。英仏と書かれているのですが、フランス語例文集として秀逸です。この本のなかの仏語例文を何度も何度も音読したり、CDと一緒にシャドーイングして覚えてしまうと、会話や作文に応用できますし、リスニング力とリーディング力も上がります。私のフランス語会話の半分近くはこの本で覚えた例文のバリエーションと言っても良いくらいです。

    かなり広い範囲の構文をカバーしているのでDELF/DALF, TCF, 仏検定, の全ての構文に対応できます。TCFとの相性の良さが素晴らしく、文法問題で活用を選ぶ問題などで活躍してくれます。TCFの文法問題で困る事がなくなりますし、フランス語の試験対策の本はほとんど無いので、全てのフランス語学習者に購入して欲しい本です。

    フランス語ネイティヴの友人に文章をチェックしてもらいましたが、この本の内容は完璧だとお墨付きでした。多くの語学書が間違った例文を掲載していて、間違った知識をそのまま試験などで使ってしまいますが、この本は安心して使えます。

    久松
    健一先生は数多くのフランス語教材を執筆なさっていて、その功績は計り知れません。私自身先生の本を数多く購入しましたがその中で一番お勧めしたいのがこの本です。

     

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    伊吹 武彦さんの『フランス語解釈法』は希有な本です。英語関連の本は日本には大量にありますがフランス語関連の本は少ないのが現状です。そんな中でこの本は、英語でもなかなか見られないような、文学者がどのように原著を解釈し日本語訳を書くのかを教えてくれます。

    文学的な内容が中心でフランス語の試験や文法書にはでてこないような表現が多いのが特徴で、わたし達が普段学んでいる外国語というのがいかに体系的で文学から遠く離れたものかを痛感させてくれます。

    アンドレ・ジッドの例文が多く、非常に難解な文章ばかりなので「ジッドは原文で読みたくない…」とかつての私の場合、ジッドを恐れるきっかけにもなりました。もっともそれだけ表現が豊かなぶん原文で読むべきなのですが。

    フランス文学専攻の大学院入試対策としても難しすぎるような内容ですし、この本を読んで活用出来る人は日本には多くはないでしょう。それでも文学者の翻訳技術を詳細に見せてくれるこの『フランス語解釈法』は文学を翻訳する者、特にフランス文学を学ぶ者にとってはこれ以上ないほどに頼れるものです。

    様々な文例が項目別に並べられているので読みやすく、内容は難しいですが出来る限り理解しやすいようにと書かれているのがとても素晴らしいです。

    昨今では文学研究を専門にする人はどんどん減っていて、語学学習をする人もビジネスや実用のためという人が増えています。それでも文学はその言語の行き着く形の一つですし、深くその社会や言語を学ぶ為にこの上なく有効です。

    今後は文学の需要は減り、外国語の文学の難解な文章に取り組む人もますます少なくなっていくでしょうが、人々がこういった難しい挑戦を諦めず、楽な崩壊の道を選択しないと思いたいです。伊吹さんのこういった本が読まれ続ける社会を日本が維持できることを願っています。

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