三修社のゼロから始めるシリーズがたいていの第二外国語では入門書として良いのですが、イタリア語ではこの「しっかり学ぶイタリア語―文法と練習問題」が優れています。

「ゼロから」シリーズや他の文法書と比べると、硬派なつくりになっていて、ある程度深い内容までカバーしています。しかしあくまでも初級書なので、まったくイタリア語を学んでいない人向けの内容です。フランス語もそうですが条件法や接続法はわかりづらいので、ある程度の分量できちんと説明する必要があります。

この 一ノ瀬俊和先生の本では、例文が1ページありその例文に対応した文法解説が3ページにもわたります。たいていの文法書は1ページの例文に対して、その文法説明は2ページなので説明がより深くわかりやすくなります。また空白も少なく、この値段でもとてもボリュームがある内容になっています。

フランス語やスペイン語をやっていると、同じラテン語属ということもあって、イタリア語を非常にスムーズに勉強できます。これら三つの言語は方言といっても良いくらいにお互い似ています。英語とドイツ語の祖語も同じで、似ているおかげで勉強しやすいとも言われていますが、フランス語、スペイン語、イタリア語のそれぞれの類似性と比べものになりません。これらのうちの言葉のどれかをやっている場合、基礎的な単語と文法さえ覚えてしまえば、あとは語彙の類似性で意味を推測してかなり読めるようになるのでお勧めです。多言語を操れるようになりたい場合はラテン語系のこれらの言葉をやるのが一番手っ取り早いです。

大学でイタリア語を学び始める人も少なくないと思いますが、大学では一般に発売されていない教科書を使うことが多いです。そして悲しいことにそういった教科書はこういった優れた語学書と比べて劣ることが大半なので、本気で学びたい場合はこちらの本を購入して学ぶことが必須です。