言語学者が選ぶ最強の語学書集(+語学学習法とか研究とか統計とか)

これまで数百冊の語学参考書を買ってきたので、特にお勧めできるものを言語学者の観点からご紹介。 語学書を活用する為の効率的な学習法や言語学の話題も。

    英語

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    これまでに読んだ本で、なおかつ紹介してない本のリストを随時更新していきます。
    名著のみ紹介するというこのブログで紹介されていなかったら、察してください。

    iBT対応TOEFLテスト完全攻略リスニング (TOEFLテスト完全攻略シリーズ) アルク
    TOEFL TEST対策iBTリスニング 田中 知英
     
    受験英語からのTOEFL Test iBTリーディング Z会編集部
     
    TOEFL TEST対策iBTリーディング テイエス企画


    TOEIC(R)TEST英単語スピードマスター

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    日本語では類語辞典のオンライン版はまだ充実していないので、どうしても紙媒体の辞典も必要になりますが、英語ではオンラインのものだけで十分です。

    http://www.thesaurus.com/
    こちらのThesaurus.comがまずはシンプルな使いやすいもので、見やすく類義語のみ列挙されます。ただし少し荒いというか、至極単純なシソーラスです。

    https://www.merriam-webster.com/
    お勧めなのはこちらのMarriam-Websterのサービスで、書籍版も非常に高く評価されています。
    ある単語で検索すると、その語のもつ意味をいくつか列挙し、その意味ごとに違った同義語のリストを見せてくれます。反義語や関連語も同時に表示されて、色々な候補から語彙を選択できます。

    https://en.oxforddictionaries.com/
    最後にこちらのOxford Dictionariesもおもしろく、口語的な類語も別項目で提示してくれます。アメリカ英語やイギリス英語に分けた分類をして示してくれるのも大きな特徴です。

    きちんと使うならMarriam-Webster、あまり時間をかけたくないならThesaurus.com、口語表現も含めたいのならOxfordという感じです。




    英語で文章を書く場合、同じ単語を繰り返して使うというようなことは避けたいですが、特にそれは英語で論文を書く際やライティングの試験の際に重要になってきます。

    TOEFLではたとえば採点ソフトが自動採点をしていますが、その採点基準に、使っている語彙の種類の多さも含まれているようです。

    500語近くの文章でTOEFLで回答した際に、あえて同じ単語を大量に使った場合、300語程度の回答と同程度のスコアでした(語彙の種類数が300語の文章と同程度)。また、同様に、500語で回答しできる限り違う語彙をちりばめた場合点数が一気に伸びました。用いられている構文はこれら2パターン内で同様で、文法ミスも差はなく、あくまで語彙の多様性のみ異なるように回答しました。

    単純に採点基準は総語彙数に基づいているのではなく、「どれだけ多くの語彙を使っているか」のようです。ここから文法のミスなどによる減点や、構文の多様性などによる加点で点数が決まっているようです。

    TOEFLはプログラムによる自動採点を採用しているのでこのように単純に対策できますが、英検やIELTSなどでも基準は同様かと思われます。採点者によって点数が異なると試験として致命的ですから、誰が採点しても同じ点数になるように、それぞれの試験で厳密に採点基準を設定しています。

    つまり、手っ取り早い対策としては、シソーラスなどを駆使して、普段から多様な単語を書けるアウトプットを鍛えることです。そしてGrammarlyなどで文法ミスをチェックして無くしていき、構文の種類に幅をもたせられるようにGREのライティング模範解答から構文を拝借してくれば、コンスタントに満点近くをライティングでとれるようになります。

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    国際的な活動をできた日本人の代表とも言える新渡戸稲造の名著です。

    そしてある意味では近代日本の最初の自己啓発的な本かもしれません。様々な名言がちりばめられています。パスカルのパンセが好きだった時期があり、似たような本を探していて出会った本です。

    個人的に好きなのは「武士道は知識を重んじるものではない。重んずるものは行動である。」なんてフレーズですが、武士道に関係しないような文章も多く、国際性や日本人について考えさせる名文が多くあります。

    新渡戸稲造の英語力や、英文のレベル、正確さなんていうのも気になる方もいるかもしれませんが、この本の英文のレベルはネイティヴのものです。当時の日本の英語教育のレベルは今よりもずっと低かったわけですし、辞書の質も相当低かったでしょうから、この本の英文は相当ネイティヴが校正、添削していると思います。冠詞の間違いすら、軽く見た感じ、見つかりませんし、オリジナルの文章ではないはずです。

    結局オリジナルの文章はわかりませんし、新渡戸稲造の英語力はわからないのですが、それはつまり、この本の英文はそのまま覚えて応用してしまっても問題文章だということですし、英語の勉強にとても有益です。

    "If there is anything to do, there is certainly a best way to do it, and the best way is both the most economical and the most graceful."

    なんて文章が、たとえば英語圏でも名文として扱われているようですが、こういった文章はとても記憶に残りやすく、覚えてそのままスピーキングやライティングに応用できます。

    英語の名文暗記はとてもメリットが多く、記憶に残りやすいというだけではなく、自己啓発にもなります。実際に文章を思い返して励まされる、というような直接的なことはあまりありませんが、無意識のうちに良い方向に人格形成をしてくれるのは確かです。

    もちろん英語学習は不要という場合でも、日本語の文章が非常に良いのでお勧めです。





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    とにかく英語や他の冠詞がある外国語を学ぶ際に、日本人を最も苦しめるのは冠詞です。ロシア人もロシア語には冠詞が無いので、冠詞についてはしょっちゅう間違えます。

    冠詞が無い言葉を母語にしている場合に、冠詞をマスターするのはほぼ不可能なので多くの外国語試験では冠詞に関する難しい問題は出題されません。また、作文でも冠詞のミスが減点対照になることは少ないです。たとえばTOEFLなどの英作文ではたいていの冠詞のミスは減点されません。

    ただしそれでも最低限は要点をおさえておかないと、問題となる場合があります。英語の試験では冠詞については許容してもらえますが、英語で論文を書く場合や、エッセー、出願動機書、カバーレター、などで冠詞がおかしいと心象が悪いですし、それで何かの機会を逃す可能性があります。

    そこでその要点をおさえるのに適しているのがこの「マンガでわかる冠詞」です。

    冠詞について理解しようとすると、関口 存男氏の「冠詞」のように大量の文章で説明されているものを読むか、なんとなくイメージで概観を把握しておくしかありません。漠然と冠詞についてイメージをもっておくと、色々と応用ができますし、何より学習が容易です。

    そういった意味でこの本は要点をイメージとして定着するのにとても適していて、マンガという媒体をうまく活用できています。また、選択されている例や題目も洗練されていて、内容が非常に優れています。

    冠詞については一応理解しておきたい、だけれども面倒、という人にもお勧めですし、英語上級者もこの本でなんとなく概要をおさえておけば大丈夫でしょう。

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    基本的に私はカタカナ英語には反対で、カタカナ英語を無くすために中学校の教科書などにも発音記号の説明や発音練習を盛り込んで欲しいと思っています。ただし、この本だけは例外です。

    英会話で一番重要なのは結局通じるか通じないかです。文法がぐちゃぐちゃだろうが、カタカナ英語だろうが、通じるのなら誰も文句を言いません。逆に文法が完璧で、カタカナ発音では無いとしても、ネイティヴが理解できないような英語なら問題と言わざるを得ません。

    そういった事を踏まえると、カタカナ英語も通じるのなら問題ないです。若い方はまだ発音が矯正しやすいかもしれませんが、40代後半くらいの方々は色々な意味で矯正が難しくなりますし、下手にネイティヴ的な発音を目指すよりは、通じるカタカナ英語を完成させたほうが遥かに容易です。

    この本で紹介されている例文は、確かに伝わりそう、と思えるもので、なおかつ普通の「スペルそのままカタカナ発音」よりは遥かに良いものばかりです。なので、今現在の英語の発音がいわゆるカタカナ発音で、時間的にも発音練習の余裕が無くネイティヴのような発音は目指さないという方に特に有益な情報ばかりです。

    根本的なことを言うと、特に男性にお勧めです。カタカナ発音が多いのは男性だと思われる方が多いのではないでしょうか。女性はネイティヴに近い発音ができるように感じられますが、典型的なカタカナ発音は男性の場合非常に多いです。これは発声器官、筋肉の構造上仕方がないことで、男性の器官ほうが非母国語の発声に不向きです。

    私もそうですが、なんとなく、男性のほうが英語の会話を躊躇したり、引け目を感じてしまうことが多いように思います。そういったコンプレックスを感じる人が多いなかで、池谷先生の文章は優しく易しく、カタカナ英語について説明しています。

    私のような末端の人間からすると池谷先生のような人は挫折なんて無縁のようにも思えますが、謙虚にご自身の英語について書かれています。こういった実直さから垣間見える人間性も、先生の能力の高さを間接的に示しているようにも感じます。

    池谷先生はすさまじい業績を稼いでいて、優秀といわれる人達が必死に毎日働いても到達できないような境地にすでに達しています。きちんと高いレベルで一定数の研究論文を書いて、学校でも教えて、非研究者でも読めるような本まで書く。これらを全て高いレベルでこなすというのは本当に難しいことで、ものすごく優秀とされる人でも研究と教育、もしくは本と教育くらいで限界になります。

    この本での文章も非常に明快でわかりやすく、尚且つ間違った情報を与えないようにという配慮が端々から感じられます。まさに論文を書く上で重要な点でもありますし、こういった配慮のおかげでとても読みやすい文章です。誰でも読めるし、読んだら誰でも理解できる、そんな本です。

    お勧めできる層や状況はもしかしたら少し狭いかもしれませんが、英語の発音がすでによく出来る方でも新しい発見がある、読んでみる価値のある本です。


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    このブログでは基本的に名著を紹介していて、どれも胸を張って良い本だと言えるものばかりなのですが、そのなかでも特に素晴らしい本というのがあります。この「How to Write and Publish a Scientific Paper」はその特にお勧めしたい本の一つで、まさしくバイブル、理系の研究者ならば必ず読まなければいけない本です。

    第8版ということからもお分かりいただけると思いますが、英語圏では必読の本として多くの研究者に支持されている本です。日本で知られていないというのが信じられないですが、これほど有益な本というのは無く、特に留学していない人たちにお勧めしたいです。

    この本では理系研究者に必要な研究活動のための情報が全て簡潔にわかりやすく書かれています。

    例えば研究者にとっては論文を投稿して、権威があるジャーナル、学術誌から自分の論文が出版されるということが目標の一つとなると思いますが、そういった際の査読のプロセスなどが書かれています。色々な暗黙のルールというのがどこの業界にもありますが、理系の論文を投稿する場合にどのようにカバーレターを書けば良いのか、どういったことが倫理上の問題となりうるのかといったことはなかなかわかりません。特に日本でずっと勉強していると気づかないような事もたくさんあり、そういった際に助けになります。どれくらいの論文が投稿されて、どれくらいリジェクトされるのか、といった生々しいことまで書かれていますが、多くの研究者が知りたい情報だと思います。

    どういったプロセスで査読が進められるのか、書き直しを要求されてもそれは問題ではないのか、書き直しをするべきか、断っても良いのか、などなど知りたい実情というものがリアルに書かれています。

    それと、学会などで発表する際にどうしたらいいのか、どのような流れか、といった事まで書かれています。英語圏やヨーロッパだとだいたい発表者の発表の仕方が似ているのですが、アジア圏からの研究者の発表だと、内容が良くても、形式的な面で少し変わったものに映るものも少なくなく、損してしまうことがあります。

    何度も再版していてしかも時代に合わせて細かく内容を書きかえるので、現在の版では研究者ようのSNSの使い方まで書かれていて、本当に隅から隅まで研究者に有益な情報が書かれています。

    語学書集のブログで扱うのにもふさわしく、アカデミックライティングや英文の書き方まで網羅しています。冠詞をどうしたらいいかといったことや、避けたほうが良い単語、そしてこちらのブログでも紹介している論文用例文サイトなどが書かれています。私の論文の英文がどれくらい優れているのかわかりませんが、もし仮に外国人としてはそれなりに良いアカデミック英語ならほとんどこの本のおかげです。

    この本があまりにも良かったので類似の、この本のなかで広告的に掲載されているアカデミックライティングの本も買ってみましたが内容が重複していたり、重複していない箇所はあまり重要ではないものだったりで、あまりお勧めできるものではありませんでした。それだけこの本が特別なのかもしれませんね。

    今でもバイブルとして、再版のたびに、年配の研究者も購入しているこの本ですが、「暗黙ルールがまとめられた本」と思っておけばよいかもしれません。学会や学術誌のルールというのは投稿の際にもちろん書かれていますが、あまりにも多くの書かれていない規則というものがあり、厄介なことにその裏のルールは時代とともに変わります。

    国際的に業績を稼ぎたかったら絶対買って損の無い一冊です。


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    無料で大量に論文よう英文テンプレートを公開しているAcademic Phrasebankですが、有料版のPDFやキンドルが入手できます。(PDFはこちら、キンドル版はこちらで購入)

    主に理系の論文を英語で書く場合のテンプレとして有効で、これだけで論文が書けるようになるくらい多くの例文を網羅しています。理系だと論文のスタイルや、論文を構成する要素がだいたいどこでも同じなので、綺麗にカバーされています。

    有料版と無料版の違いは分量で、有料版のほうが20%ほど、体感ですが、例文量が多く、より広い範囲をカバーできるようになり、同じ表現の繰り返しも避けられます。

    そのほかの有料版のメリットは、見やすさです。レイアウトがホームページで紹介されている無料版と有料版では異なり、有料版のほうが個人的には見やすく感じます。なんといってもPDFなら印刷して読むことができるので、使い勝手が良くなります。

    このテンプレ集をつかい、以前お勧めしたGrammarlyを使って冠詞などをチェックし、ネイティヴが書いた参考文献から適切な語彙や表現を借りてくればほぼネイティヴ並みの論文を書けます。

    日本で出版されている、日本語で解説された英語の論文用例文集も良いものがありますし、解説のおかげで使いやすいですから最初はそちらで良いと思います。ただ、そういった本の例文をネイティヴにチェックしてもらうと、やはり非ネイティヴ的な表現だと言われます。

    ちなみに、IELTS、 TOEFL、 GREや英検でもテンプレというのは非常に有効で私が高得点をライティングでとれたのは、あまり誇れたことではないでしょうが、ほとんどテンプレのおかげです。それだけテンプレ作りは重要で、このAcademic Phrasebankも言うまでもなく試験用テンプレート作りに有効です。TOEFLなどの採点者はインターネット上で広まっているようなテンプレには見慣れてしまって、採点が厳しくなります。いろいろなことを踏まえて、自分で自分にあった、どんな場合でもカバーできて英語力をこれでもかと見せつけられるテンプレを自分で作るのが何より重要で、このAcademic Phrasebankはその第一歩になると思います。

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