言語学者が選ぶ最強の語学書集(+語学学習法とか研究とか統計とか)

これまで数百冊の語学参考書を買ってきたので、特にお勧めできるものを言語学者の観点からご紹介。 語学書を活用する為の効率的な学習法や言語学の話題も。

    英語リスニング

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    効率的に語学を勉強したかったらとにかくリスニングを優先するというのが、個人的にですが、とても有効だと思っています。リスニング対策をしていれば自動的に読めるようになりますし、リーディングばかりしていてもなかなか聞き取れるようになりません。

    さらに欲張りに、もっと効率を上げたいと思っていた時によく視聴していたのがこのThe Great Coursesの教材です。幅広く多様な学術分野をカバーしていて、リスニングで英語力をあげつつさらに自分が学びたい専門分野の知識をどんどん吸収できます。

    基本的には講師による講義動画がダウンロード形式になっていたり、もしくはDVDに収録されていて、ボリュームがすごいです。例えば「印象派の画家たち」というレクチャーだけでも合計12時間もあります。12時間分もリスニングできる教材なんてなかなかありませんし、ここで例にあげた西洋美術史に関する講義だけで数多くあるので、膨大な量の英語を聞けます。

    また講師陣が本当にすばらしく、それぞれの専門分野のビッグネームばかりです。日本でも放送大学の教授陣は基本的にその分野の大御所ばかりですが、こちらも同様に英語圏の大学で教鞭をとっている専門家ばかりです。

    講義の内容は大学の学部生向けのレベルになっていて、ものすごく掘り下げているようなものは少ないかもしれません。逆に専門外の人でも理解できるようになっているので、自分が専門としている分野とその関連分野くらいまでは楽に見ることができます。

    私の場合は関連分野として心理学や統計学などがあり、これらと言語学関連の講義を見るべきなのですが、なぜか文学関連の講義ばかり見ていました。特に印象的だったのはフランス文学に関するもので、講義を通して作品の見方が大きく変わりました。

    関係ないのであまり長く書けませんが、以前はボヴァリー夫人という作品がなぜ文学史上そこまで重要視されるのかわかりませんでした。それでも講義を通して、著者のロマン主義への憧れを踏まえて、ロマン主義の象徴として登場人物「エマ」を見るとこの作品の世界が全く別の色で染まり、その修辞法一つにまで感動を覚えました。

    英語の勉強にもなって、文学観を変えてくれるような濃密な講義も楽しめるこの上ない英語教材の一つだと思っています。量が多いのが本当にいいですね。

    画像が欲しいのでアマゾンのリンクを貼っておきますが、公式サイトのほうが色々そろっていてお勧めです。セール品が特にお買い得ですね。

    難易度的にはTOEFLやIELTSのリスニングより難しいので上級者向けといえます。スクリプトがあるものもあった気がしますが、無いものが多いのでそういう意味でも自力で何度か聞けばちゃんと音を拾えるくらいのリスニング力がないとつらいと思います。

    お勧めのものしかこのブログでは取り上げませんが、その中でも特にお勧めです。


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    効率的な学習のために、いつも私がお勧めするのはリスニングです。リーディング対策ばかりしていても聴解対策にはなりませんが、聞けるようになれば読めるようになります。ですので時間効率的にリスニングは優れていますし、聞いて覚えた単語やフレーズをそのまま会話や作文で使うことができます。特にシャドーイング、聞きながら聞こえた音声をそのまま口に出す方法は記憶の定着や発音の矯正の意味でも有益で、特にお勧めしたい方法です。

     

    子供が言葉を覚えるように、とにかく耳から語学を学ぶというのは第二言語習得論の分野でも認められている学習方法で、移動時間などに行いやすいということも利点です。

     

    学校や仕事先に向かう場合は電車や車での移動になると思いますが、読む事と比べてmp3プレイヤーや携帯電話でリスニング教材を聞くのは容易です。酔う心配もありませんし、学習効果も十分あります。毎日のちょっとした移動時間も一年間での合計ではそれなりの時間数になるので有効活用するとしないでは語学力の伸びに大きく影響します。

     

    また、人にもよるのですが、私のように寝つきがあまりよくない人の場合、寝入る前にベッドのなかでリスニング教材を聞くのは時間を無駄にしない学習法です。あとは仕事で単純な作業、たとえばエクセルで単純作業をしているときにmp3を聴きながらやるというのも有益です。最近はロシア語でこの方法をずっとやっています。

     

    聞く音声をどう選ぶかというのも非常に重要です。集中して聴くことができる環境ではありませんし、辞書をひいたりすることも難しい環境で聞くことになります。そういった意味でもともと何度か聴いていて、意味も把握している文章を聞くことをお勧めします。この点が一番重要で、キクタン、やマジックリスニング、といった教材も名前だけ聞くと聴く作業中心の学習法のように思えますが、ただ聞くだけではなくて読んで内容を理解しておいたほうが効率は遥かに上がります。

     

    学習というのは自分の穴を埋めていく作業がとても重要ですが、復習もまた重要なことなので、こうして既にある程度理解しているものを復習して、さらに出来るならばフレーズのいくつかを暗記してしまってスピーキングやライティングに活用できるようになるとより良いです。

     

    時間効率を突き詰めると、音声ファイルはあらかじめ編集して不要な部分はカットしておくべきです。日本語訳の朗読や空白の部分、音楽の部分、効果音がなる部分などはこういった学習法では不要なので、カットすることで短時間でより多くの音声を聞くことができます。簡単にmp3を編集できるソフトはたくさんあるので、こういったソフトで不要部分をカットした音声を何度も聞くべきです。そうすることで限られた時間でより多くの音声を聞くことができます。

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    なるほどこういう手があったか、という本です。

    映画やテレビドラマで英語学習できたらいいのに、と思う事がとても多かったです。楽しいですし、ひたすら同じようなことを続ける試験対策の間の良い息抜きになります。

    しかし映画やドラマで問題なのは非効率性です。まず映画は意外なほどに無言の時間や効果音のみの時間があり、英語音声を聞ける時間が少ないのです。

    さらに問題なのはスラングの多さです。ただでさえ会話の場面が意外と少ないのに出てきた言葉が「ファック」「シット」だったりします。

    また、試験に出題される英語は動詞が他動詞であればそれに対応した目的語が丁寧に書かれていたり、語順も普通の教科書的なものですが、映画の中では何か語彙が省略されて目的語などが無いことなどしょっちゅうですし、語順も試験問題的な英語と異なる事が少なくないです。ですので、試験対策にはまずなりません。

    こういった理由から、いくら勉強に飽きてきても映画を見ることは避けてきました。これが正しい考えとももちろん言えないのですが。

    しかしこの本は違います。教育用に作られたドラマを使うことで上記の問題を解決しているのです。これは目からうろこというか、多くの類似教材は名画の名場面などを中心に実際の映画から素材を選んでいますが学習にはそこまで効果的では無い一方で、この本の英語はとても丁寧で試験で使われてもおかしくないようなものなので良い勉強になります。

    試験対策になるならそれが良い勉強なのか、生きた実際の英語をおろそかにしていいのか、と問われると困ってしまうのですが、その実際の生きた英語というものはあまりにも難しく、残念ながら非ネイティヴには過ぎたものということになるのが大半です。スラングなどを積極的に取り入れて勉強をする場合、どういった場面なら表現が許容されるのかを知る必要がありますし、どの年代が使う言葉なのか、自分の年齢で使ってもいいのか、などなど考える事が多すぎるのです。

    たとえば仕事の面接で「なんとかなるじゃろうて」、などと日本語学習中の若い外国人が言ったとしたら面接官は困りますし、言った本人も困る結果になりかねません。無難に教科書的な「なんとかなると思います」と言ったほうが安全です。

    スラングを聞く能力を上げる、という意味でも難しく、スラングは基本的に使われるコミュニティが限定されるので、せっかく学んだとしてもそれはロンドン以外では聞く事がなかったり、カリフォルニアでしか耳にしないものだったりします。

    この本の英語はとても綺麗なので、生きた英語とは違いますが、そのぶんためになります。表現が実際の映画とは違う以上、この本や同様の教材をこなすだけで映画やドラマを理解できるようにはなかなかなりません。しかしこの本の英文はとても正確で、学習に不向きとも思える刑事ものですが、英語力自体は上げてくれます。

    映画やドラマを理解するというのは、上級者、TOEIC 900以上、英検1級以上でも難しく、一言一句全て理解するというのは不可能です。ですので映画などを理解しようとするにはこの本一冊では不十分なのですが、少なくとも理解するための一歩にはなります。

    言語学の研究に基づいた参考書という意味でも貴重で価値があるものです。他の参考書には無い教育的な効果があるでしょう。リスニングに重要な知識をわかりやすく説明してくれています。個人的にとても大切だと思うのはシュワー、あいまい音で、日本語には存在しない母音で、しかも英語の母音の半分はあいまい音と言ってもいいくらいで、これを理解していないとなかなか聞き取れるようにはなりません。

    こういったリスニングに重要な知識も説明されている森田勝之先生は、言語学者らしい教育を実践されていますし、それゆえにこの本は素晴らしいものになっています。




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