言語学者が選ぶ最強の語学書集(+語学学習法とか研究とか統計とか)

これまで数百冊の語学参考書を買ってきたので、特にお勧めできるものを言語学者の観点からご紹介。 語学書を活用する為の効率的な学習法や言語学の話題も。

    ドイツ語

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    関口存男先生の人生の集大成とも言える全三巻「冠詞」は語学書界の伝説とも言えるようなものです。三冊ともにページ数が多く、合計で2300ページを超えます。ページ数ですごさを語るというのも陳腐なのですが、冠詞という一つの内容だけでこれだけの分量を書くことが出来るというのはそれだけ関口先生の理解の深さを表していると言えるでしょう。

    そして、その分量は冠詞というものの難しさも示しています。冠詞を使う言語を母国語とする人々は、例えばギリシャ語話者などでも、母国語以外の冠詞の使用に関してそれほど困りません。しかしアジア圏の人々は母国語に冠詞が無いので、冠詞がある言語を学習する際はとても苦労してしまいます。

    母国語が学習している外国語と似ているかどうかというのは難易度に直接関係してしまうので、似た言語ほど容易に学習できます。日本語は英語、フランス語、そしてドイツ語との違いが非常に大きく、中国語や韓国語を学ぶほうが日本人には簡単です。その違いと難しさを反映しているものの一つが冠詞です。

    この本で主に紹介される冠詞は関口先生が専門とされているドイツ語が中心で、英語やフランス語の冠詞についても触れられています。冠詞の役割や働きもこれら三ヶ国語はそれぞれ似ているとも言えるのでこのように同時に取り扱うことができます。イタリア語やフランス語にある部分冠詞はまた特殊ですが、基本はやはり定冠詞と不定冠詞なのでこれらをこの本でおさえることでフランス語、そしてさらにはイタリア語でさえ、冠詞の理解が応用できます。

    他にも冠詞に関する優れた本はありますし、簡単にイメージで感覚的につかめるように書かれた本もあるのですがネイティヴのように冠詞が使えるようにはなりません。ネイティヴと同程度に冠詞を使いたければ関口先生のこの本を熟読するか、もしくは大量にその言葉を使ってその言語を外国語から母国語にしてしまうしかありません。私も冠詞については常に意識していて、英語やフランス語で文章を書く場合は同じようなフレーズをグーグルで検索し、その場合どのように冠詞が使われているかを参考にしつつ冠詞を決定します。とても時間がかかるのですが、これは冠詞の勉強もかねているので仕方ないと諦めています。最近ではわりと冠詞が自然なものになってきている気もしますが、大事な文章を書く際はネイティヴにチェックをお願いしています。

    関口先生のこの本ほどこのブログで書きたくなる本というのもありません。優れた本はそれ自体が人生の集大成、命そのものがぶつけられたようなもので、語学書には特にそういった本が多いです。こういった本から見えてくる著者の人生というものが個人的にはとても魅力的で、冠詞に関する内容そのものも、もちろん重要ですが、この本からにじみ出る関口先生という人に一番興味があります。

    私自身、言語学者として、そして芸術家として生活しているので、演劇の世界でも活動されていた関口先生にとても関心があります。残念ながらもう直接お話することが出来ないのですが、こういった著作を通しての対話が心地良く、楽しみの一つになっています。普通の人生では普通のことしかできないので、普通ではない人生をこういった本から多くの人に感じて欲しいと思います。

     

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    良著ばかりの「文法から学べる」シリーズですが、今回はドイツ語版についてご紹介です。

    この「文法から学べる」シリーズは比較的メジャーな第二外国語の入門書を多く出版しています。中級や上級の参考書は、第二外国語の場合、とても少ないのですが、入門書に関しては多くの本が出版されています。

    そんな中でこの本が特に優れているのは、為になるメモや注意書きがさまざまな箇所にコメントとして挿入されていることです。例文や動詞の活用表にまで書き込まれているこのコメントは、塾の先生のような、為になる助言です。このおかげでよくある参考書とは一次元違う、立体的な解説となっています。コメントや表の質の良さも素晴らしいですね。

    格変化の表のところに日本語で「は」「の」「に」「を」などと補足的に表記されているのも個人的にはとても嬉しいものでした。他の参考書では表の箇所に毎回これらを自分で書き込んでいたので、手間が省けましたし、手書きの自分のメモよりもきちんと印刷されているほうが見やすいです。


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